【2010年7月5日の朝礼でのスピーチより】
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先週、大阪出張のために新幹線のチケットを私と同行者の分の2名分をネットで購入しました。ところがその後でもう1名追加となったので、同じくネットで手
続きしようと思いましたが、このような場合はみどりの窓口で手続きをしなければならないということで駅の窓口へ行きました。
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係りの人にすでに購入したのぞみ号2名分のチケットをいったん返却し、同じ列車で1名追加で取り直すよう頼みました。すると、係員が「喫煙にしなくてよい
ですか?」と聞いてきました。同行のメンバーに喫煙者がいたので喫煙席にしたかったのですが、ネットで購入したときには喫煙席が無かったので喫煙ルームに
近い場所を選んでおりました。だから、「のぞみに喫煙席なんてあるんですか?」と聞くと、「はい、あります」と答える。なので、それなら喫煙でお願いしま
すと伝えました。
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すると、しばらくして係員が「喫煙席は無いので喫煙ルームに近い席でよろしいですか?」と言ってきました。それならば、元々ネット予約した時と同じなので、なんでわざわざ喫煙席にしますかなどと聞いてきたのだろうと怪訝に思いました。
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いつもなら、この程度のことなら流すところですが、ワールドカップや家内が拾ってきた子猫のことなどでここ2、3日寝不足だった私はちょっとしたことでイ
ライラが爆発する状態でした。「さっきは喫煙席にするかと聞いてきたのに、なんで?」と聞くと、「いや、列車によっては喫煙席があるんですが、この号には
無かったので喫煙ルームに近い席にしました」と係員。
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言おうかどうか迷ったけれども、イライラして思考力が低下していた私はさらに追及します。「そんなことは自分でネット予約したから分かっている、あなたが
喫煙席にするかと聞いてきたからそうしてくれと言ったのに、無いというのはどういうこと?」と少し声を荒げて問い詰めました。何を言っているんだこいつ
は?と内心思いました。
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「列車によっては喫煙席があるので、時間を変更してでも喫煙席をお選びになるかどうかと思いまして」と係員。「ああ、そういうこと・・、別に自分が吸うわ
けじゃなくて同行者が吸うから喫煙にしようかと思ったんだけど」と返事しながらも、なお納得のいかない様子の私を見て、係員がもう一言付け加えました。
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「お客様によっては喫煙席にするかどうかは結構シビアな問題なんですよ。」この一言で、ああ、そりゃそうだなと一瞬で納得しました。このぎくしゃくした会話は、駅員のちょっとしたインフォメーション、「時間を変更してでも喫煙席にしたい乗客がいる」で、一気に解消しました。この人(”こいつ”から昇格)
は、自分のために気を使って、喫煙席にするかどうかを聞いてくれていたのだと感じ入りました。
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それと同時に、自分の理解力というか、想像力の欠如と、相手の言葉の足らなさというものに思いが至ります。せっかく双方が互いのことを思いやる気持ちを持っているのにこうした余計な感情のいら立ちを生じさせてしまうのはなぜだろうかと。
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相手に対して気を使って情報を伝えたつもりが、帰ってややこしい事態になることがあります。先日も娘を連れてバスに乗る際、「娘の分はスイカで、私の分は
1日乗車券を購入します」と言ったのに、バス運転手がスイカがどうたらと言ってきたので、「い・ち・に・ち・じょ・う・しゃ・け・ん・をください」と強い
言い方で伝えました。バスは、他の乗客がいるし、乗り込む際にややこしいことで時間を取りたくないので、私としては他の乗客に気を使ってさっさとやりとり
を済ませたかったのです。バスの運転手はなにやら納得のいかない様子でバッグから1日乗車券を出して渡してくれました。
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その日の終わりごろ、わたくしが1日乗車券を持っているのを家内が見てこういいました。「今はわざわざ券をもらわなくても、スイカに一日乗車券をチャージ
してくれるのよ」と。そこで、ああ、あの運転手はそういうことを伝えようとしたのだなと納得がいきました。結局私がわかっていない奴だったわけです。相手
は私に気を使って言ってくれていたわけだし、私は他の乗客に気を使ってさっさとやりとりを終わらせたかった。そして双方のコミュニケーションはうまく成立
しなかった。
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短い時間で不特定多数の相手とコミュニケーションをとるのは難しい。と感じもし、私自身、おちついて会話をしないといけないなと思わされる出来事でした。(年を取って偏屈になってきているのかも知れません)