概要

6月にワシントンD.C.で開催された「Gartner Security & Risk Management Summit」に参加してきました。

これは、IT系調査会社ガートナーが主催するイベントで、2014年6月23日から6月26日までの4日間で参加費が $2,450(25万円)というものです。

日本で開催されるイベント、例えば東京ビッグサイトや幕張メッセなどを会場とする展示会は参加無料というものが多いのに対し、4日間とはいえ25万円かかるという点について随分高いなと思いました。私は海外のイベントに参加するのは今回が初めてだったので、この金額で一体どのような人が参加するのか興味がわきました。

イベントの内容に触れる前に、参加することになったいきさつから説明します。弊社が日本で総代理店として販売しているセキュリティソリューション、SECUDRIVE(セキュドライブ)の開発元である韓国のBrainzsquare社(以下BS社)がこのイベントにブースを出展することになりました。これはBS社の米国オフィスがマーケティング活動として全面的に運営しますが、それにあたって日本のマーケットを担当している私に視察の意味を込めてBS社から招待を受けたものです。

会場

会場は、ワシントンD.C.つまりホワイトハウスのあるエリアから車で30分ほどポトマック川に沿って南に下がったNational HarborにあるGaylord Nationalというリゾートホテルになります。日本でいうと、都心から30分ほど南下した「みなとみらい」という立地に似ています。このホテルは大規模なコンベンションが開催できるようになっており、宿泊している部屋からエレベーターで降りてホールを数分歩くとそのまま会場にいけます。セミナーの合間にちょっとメールをチェックするとか、トイレに行きたいときも気軽に自分の部屋に戻れるのでとても快適です。

ホテルの内観-1
ホテルの内観-1
ホテルの内観-2
ホテルの内観-2

イベントの内容

イベントはセッションセミナーが主体で、それにShowcaseという展示会ブースエリアが付帯しているという構成です。さらには企業のCIOが直接1対1で専門コンサルタントに相談できる場が用意されているとか、円卓形式で特定の問題を話し合うような会議も設定されているようです。セミナーは常時10本近い数が並行して開催されており、各自自分の興味のあるセミナーに参加することができます。ただし、中にはCISCOの招待が必要だったり、事前登録が必要なクローズドなものもあったります。Showcaseは100社くらいが出展しており、規模ではFortinet社がダントツで、データセンターを内蔵した大型トレーラーを会場に持ち込んでデモをしていました。他にはDell、IBM、Trend Micro、Citrixなど著名な会社もありますが比較的みなこじんまりしたブースになっています。ここに弊社の扱っているSECUDRIVEもブースを構えています。

開催前のShowcase会場内部
開催前のShowcase会場内部。
ゆったりしていますが、理由があります。
Brainzsquareの社長のKang氏と
Brainzsquareの社長のKang氏と

初日のキーノートスピーチ-1
初日のキーノートスピーチ-1
初日のキーノートスピーチ-2
初日のキーノートスピーチ-2

食事

このイベント開催中は毎日朝食、昼食が用意されます。参加者は皆ホテルに缶詰になって、朝から晩まで4日間集中してイベントに参加できるわけです。缶詰と言ってもホテルの中にはバーやレストラン、プールなどもありますし、近所もちょっとした観光の街になっているので退屈はしません。参加者の中には家族連れでやってきて、ご主人はイベントに参加して奥さんや子供たちはホテルの娯楽施設で楽しむ、といったことができるようです。こちらのホテルは1部屋いくらという設定なので、1部屋に複数人数で泊まればお得です。とはいえ1泊3万円以上します。

 ただ、初日の朝食には驚きました。ワゴンにパンや飲み物などは用意されていますが椅子もテーブルもありませんから皆立ち食いです。アメリカ人はこういうのに慣れているのでしょうか。アジア人の我々は床に座り込んで食べました。(欧米人でも平気で座り込んで食べている人がいましたが)

初日の朝食-1
初日の朝食-1
初日の朝食-2
初日の朝食-2
初日の朝食-3
初日の朝食-3

セッションの受講

 セミナーは、あらかじめ渡されたアジェンダを見て、めいめい好き勝手に自分の興味のあるテーマをやっている会場に入室します。ホールにはコーヒー、缶ジュース、スナック類がふんだんに用意してあるので、それらを自由にとることができます。セミナー会場も飲食自由で、コーヒーやジュースを飲みながら参加している人も多くいます。雰囲気としては、大学のキャンパスが4日間だけこのホテルに開講している感じです。

 出展企業主催のセミナーは帰りにちょっとしたお土産をもらえたります。私は、Barracudaからもらった携帯電話用充電バッテリーが気に入りました。

通常のセッションの様子
通常のセッションの様子

夕食&商談

初日と2日目は軽い 夕食が用意されました。初日はShowcaseの展示ブース会場をそのまま立食パーティーのようにして、ビールやワインを手にしながら各社のブースを回ることができます。このようなスタイルは日本ではありませんね。展示会場のスペースがいやにゆったりしていると思っていましたが、このような使い方をするためだったのですね。また、会場の外に出ればポトマック川のほとりを吹く風に吹かれながら、のんびりとビールを飲むこともできます。なおここでのビールも無料でした。

また、2日目はHOSPITALITY SUITESというタイトルで、スポンサーが主催するパーティーのようなものがあります。ここでは10社あまりのスポンサー企業がそれぞれの部屋に分かれて独自のスタイルで演出を凝らして参加者を迎えます。Tripwireは極寒の北極あるいは南極のイメージで、スタッフは防寒着を着て出迎え、入場者には毛皮の手袋をくれたりします。Dellは戦艦のデッキの上にいるかのような会場のつくりで、ゲストとしてアメリカ海軍特殊部隊のSEALのリーダーがスピーチをするという趣向。他にも、中世の騎士をイメージしたり、ジャズクラブだったり、自動車レースの世界を再現したりと様々です。それぞれ数十人くらいが入れるこじんまりした部屋に軽いスナックやビール、ワイン等を用意して、女性のホストが入り口でしきりに客引きをしています。まるで学園祭のようなノリでした。(この時の写真を撮っていないのが残念でした)

このように至れり尽くせりのHospitalityでしたが、なぜか3日目の夜だけは何もありませんでした。

食事が用意された展示会場
食事が用意された展示会場
リラックスした雰囲気
リラックスした雰囲気

まとめ

 最終日は午前中で終了となりますが、帰りの飛行機の都合で朝食だけ摂って帰途につきました。今回のイベント、参加者は3,500人位とのことで、初日はとても混み合っていましたが、さすがに3日目、4日目となると人も減ってきたように思います。

4日間イベントに参加しましたが、ネイティブがネイティブに話す英語を理解するのは私には厳しかったです。セッションもできるだけパワーポイントで説明してくれるパターンのものを選びました。パネリストが数人並んでステージ上でおしゃべりするというスタイルのセッションはほとんど意味が聞き取れませんでした。特に、話の合間合間に入ってくるジョークの部分で、周りが笑っているのにこちらは何がおかしいのか理解できずにいるというのが一番きついですね。休憩時間に気さくな人が声をかけてくれたりして、そうした際の会話は何とかなりますが、セミナーを理解するにはもっと英語を勉強しなければと痛感しました。

このイベント、日本の企業としてはNTT、SONY、日立などが出ているようでしたが、日本人にはほとんどお目にかかりませんでした。外国の大学に留学するとこういう感じなのでしょうね。

ホテル前のポトマック川
ホテル前のポトマック川
ロデオマシンに乗る客
ロデオマシンに乗る客(ホテル外のバー)

今回のように海外に出かけると感じることの一つに軍の存在があります。今回のイベントでも2日目のキーノートスピーチにGeneral KeithというU.S.サイバーコマンダーの陸将が出てきて話したり、DELLのHOSPITALITY SUITEではSEALのメンバーがスピーチしたりと、その存在感は大きいです。韓国でも遊園地に行くと軍服を着た若者の集団が遊んでいたりするのを見かけます。一般的に先進国は軍を持っており、その予算はとても大きなものであり、経済的にその存在は自動車産業や情報通信作業と同じくらいに重要な要素だと思いますし、社会的にもそれなりのキャリアを持った軍人は尊敬され社会的な地位も高いといえるようです。このあたりが日本にはないので、外国人が日本に来たときにおそらく大きな違和感を持つ部分でしょうね。

欧米ではこのようにして一緒に勉強し、一緒に食事をして人同士が仲良くなってビジネスを進めるというスタイルが一般的なのでしょうか。文化の違いのようなものを感じます。参加者の名札を見ると有名IT企業の名が目につきますので、会社のITセキュリティ部門からから送り込まれているのだろうと思います。日本の展示会では個人のお客さんもよくいらっしゃいますが、この金額では個人参加はないですね。

蛇足

帰りの飛行機の中で音楽を聴いて目をつぶっていた時、ふと目を開けて横を見るとそこになぜか猫の姿が、ぬいぐるみかと思ってよく見てみると耳やしっぽが動いています。これ、なんと隣の席のアメリカ人らしき若夫婦が持ち込んだ正真正銘の生きた猫でした。それまで足もとのバッグに入れていたようですが、13時間もの長いフライトに猫も飽きたのか、奥さんがバッグから出して膝の上に載せていたのです。

私も猫好きなので触らせてもらったり写真を撮ったりしましたが、その後また映画を見始めました。そしてしばらくした時、私の右に座っている猫連れの夫婦とは反対側の、左側の座席の下の方に例の猫がのそのそ歩いています。リードを外していたのか、逃げ出したのか知りませんが、勝手に飛行機の中を歩き回っているのです。隣の旦那の肩をたたいて教えてやると、夫婦とも慌てて席を立って猫を探し出します。私が通路側なので、この夫婦が立ち上がるたびに私もいったん通路に出なければなりません。しかたなく私も一緒に猫を探しますが、もうさっきの場所にはいません。そのうち、乗客がこっちだよと教えてくれて何とか捕獲。不思議なことに誰も騒ぐ人はいませんでした。

 ようやく席に戻ると今度はCAのおばちゃんが来ました。この夫婦に何か言っています。さすがに怒られるのかと思っていたら、「後ろのキャビンが広いからそちらに連れて行って遊ばせてやったら?」というような優しいサジェスチョンでした。「あー、これOKなんだ」と私は心の中で思いました。早速奥さんは猫をバッグにも入れずむき身の状態で後ろの方へ姿を消し、10分くらいしたら何事もなかったかのように猫と一緒に戻ってきました。この猫とても利口で一切鳴き声は出しませんでした。猫は2歳で、これから韓国へ行くという話でした。飛行機はユナイテッドでしたが、日本の航空会社でもOKなんでしょうか?

 ワシントンから一緒に帰ってきた猫

ワシントンから一緒に帰ってきた猫

「ガートナーセキュリティサミット2014(Gartner Security & Risk Management Summit)」への1件のフィードバック

  1. いつもお世話になっております。

    ガートナー社の日本のイベントには当社の社員も毎年1名行っておりますが、2日間で12万円くらいとやはりお高いですね。
    情報共有できていないのでどんなイベントなのかよくわかっていませんでしたが、阿部さんのレポで雰囲気がわかりました。ありがとうございます。

    猫ちゃん、日本の航空会社はNGですね。
    ペットクレートなるものに入れてバゲージと一緒に預けるみたいで
    小鳥でも片道5000円かかるそうです。

    アメリカはゆるゆるでいいですね!

    帰国日はずいぶん長い一日となってしまいましたよね(+_+)
    ご尽力に深謝いたします。

    よりこ

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