【2010年6月28日の朝礼でのスピーチより】

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皆さんは取り込み詐欺という言葉を知っていますか?
これは、詐欺を行う側の企業が近日中に倒産するとわかっているにもかかわらず多額の商品を被害者側企業から掛けで購入するものです。納品された商品はさっさと現金化してしまい、支払期日の前に倒産させるなどしてドロンするというものです。

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私は幸い被害にあったことはありませんが、2度ほど商談を持ちかけられ、これは怪しいなと思うケースがありました。2回とも似たような話だったのでどちらがどうだったかよく覚えていませんが、話の流れはこんな感じです。

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ある日、見ず知らずの会社から電話がかかってきます。そして、ホームページを見たとか電話帳を見たとか言って仕事の依頼の話が来ます。うちはソフト開発会
社なので、具体的な開発案件があるように見せかけてきます。唐突な話ではありますが、規模も大きな仕事のようなので、こちらも商売なのでまずは話を聞きに
先方へ話を聞きに行くことにします。

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相手の会社はホームページもしっかりしており、会社の住所も都心の一等地にあるようです。この時点でかなり安心してしまいます。

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さて、先方の会社へ出向いてみるとなかなかおしゃれなオフィスビルですがちょっと引っかかる点がありました。それは後で話すとして、案件そのものは非常に
具体的で、仕様書もしっかりしたものが出来上がっておりました。ざっと10人月から20人月くらいのボリュームで、内心この仕事をぜひ取りたいなと思って
きます。

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案件のヒアリングがおおむね終わったところで、相手が「ちょっとお願いがあるのですが」と切り出します。「実はこの案件では最終的にPCを100台ほど納
品することになっているのですが、いつもの商社を通していると納期的に厳しいので、まずはテストで最低限必要となる10台を御社で調達してもらえませんで
しょうか」。ほらほら、話がきな臭くなってきました。

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もちろん、代金はソフト開発の費用に上乗せしてよいというのですが、PC10台は早急に必要なので来週中に何とかして欲しいなどと要求してきます。この仕事が取れるならばPC10台くらいどうってことはないのですが、どうも怪しいのでその日は回答せずに戻ってきました。

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何が私を躊躇させたかというと、話がうますぎるうえに先にPCを10台よこせというのは、どう考えても取り込み詐欺だと思ったからです。さらに私の警戒心
を掻き立てたのは、相手のオフィスビルの雰囲気でした。そこは確かにおしゃれなオフィスビルではありましたし、受付嬢もちゃんといて打ち合わせをしたのも
立派な会議室でした。

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しかし、そのオフィスビルはどうも複数の会社それもかなり多数の会社が同居しているような感じで、受付の女性はそれらの会社の単なる代行のようでした。お
そらく打ち合わせスペースはそれらの会社の共用スペースとなっており、1時間いくらで借りるような仕組みになっているのでしょう。

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彼らが実際の執務スペースに私を入れてくれて、そこには多くの従業員が確かに働いているというのを確認できていたらそんなには疑わなかったと思いますが、
全体を総合してみるとやはり怪しい。よって、その話は断ることにしました。その後、その会社がどうなったかは知りませんが、明らかに取り込み詐欺だったの
でしょう。

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そのあとも同じようなケースで商談を持ちかけられましたが、1度目の時と全く同じような状況でした。先方のオフィスに入ってみると受付嬢がにこやかに座っ
ており、あのレンタルオフィス独特のいかがわしさを醸し出していました。ああ、これはまただな。と思い、今度は深入りせずにさっさと引き揚げました。

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きっと最初はPC10台などとハードルを低くしておいて、それに乗っかってくるような相手だったらそれカモが来たとばかりにさらに100台、200台と購入させられるのでしょう。

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最近は不況のわりにはあまりこうした事例を聞きませんが、取り込み詐欺の手口というのは覚えておいた方がよいでしょう。詐欺師というのは、相手が欲しがっているものを巧妙にちらつかせてくるものです。

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