【11月30日の朝礼でのスピーチより】
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29日の日曜日、比叡山から栢木寛照師が東京に来られたので、一家引き連れてお昼をご一緒しました。色々とよもやま話をしていた中、長野の善光寺に年間お参りに来る参拝客数が600万人と聞いて驚きました。単純に365で割ると1日当たり1万6千人余りです。しかも、今年は7年に一度の御本尊の御開帳で、4、5月の2か月で750万人も参拝されたとか。
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1万6千人というのは、プロ野球の1球場のキャパに相当します。栃木の佐野にできたアウトレットモールが年間540万人ということですから、それを上回る人々が善光寺参りをしているのです。
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近年、地方の衰退が顕著になり、県庁所在地であっても商店街はシャッター通りと化し、駅前も閑散としているような状況が伝えられる中、このような集客力は出色のものがあります。長野県は、善光寺のおかげでかなり潤っているはずです。
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前日の28日には近所の品川・海雲寺で千躰荒神祭があったので、娘たちを連れてお参りしてきました。地元でこのようなお祭りがあることは知らなかったのですが、いってみると大勢の参拝客で賑わっており、青物横丁の駅から旧東海道を通る参道は大混雑でした。
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しかし、気になることがあります。それは、参拝客のほとんどが高齢者であるということです。大勢のお年寄りで賑わうその様子はまるで巣鴨のとげぬき地蔵のようです。沿道に出ている露店も佃煮、ワカメ、おしんこ、唐辛子など、お年寄りをターゲットにしたものばかりで、お祭りと聞いて大喜びでついてきた7歳の娘は、家に帰りつくと「綿菓子も売ってないしチョコバナナもないからちっとも面白くなかった、もう絶対いかない」と口を尖がらせていました。
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一晩で35万人が参拝するという池上本門寺の御会式も、そうはいいながらも私が子供のころに比べるとその参拝者の数には陰りが見える気がします。以前は駅前から山上の本堂まで人波をかき分けてたどり着くのに大変苦労したものですが、近年は割と簡単に到達できてしまうようになり少し拍子抜けします。
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東京ディズニーランド+ディズニーシーの2008年の年間来場者数は2,700万人ということです。こちらの方は、年々来場者数は増加の一途をたどっており、その集客力には驚きます。ディズニーランドは、かつて遊びに来た若い人たちがいずれ親になり、今度は子供を連れて遊びに来るという世代間の継承がうまくいっているのが一つの成功要因でしょう。
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しかし、神社仏閣の参拝客にはなかなか世代間の承継が果たされていない気がします。よって、お客はどんどん高齢化し集客力はどんどん落ち込んでしまうので、いずれは消滅してしまうかもしれません。お寺や神社の縁起やお祭りの意味などを孫たちに伝えていたおじいちゃんおばあちゃんが、少子化、核家族化などにより伝える相手がいなくなってきているのでしょう。
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お寺も今後はきちんとマーケティングを行い、若い世代の親や子供たちにもアピールするように方策を考えないと生き残っていけない時代が来るかもしれません。