【9月7日の朝礼でのスピーチより】

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昨今のような不況下では、企業がいかにして生き残るかについて考えさせられます。中小企業の場合は、自社に保有している経営資源が少ないので他の会社と協力して事に当たることがよくあります。GEの元会長ジャックウェルチは、良い企業とは良いパートナーを持っていることであるといっています。それでは企業にとってのパートナーとは何でしょうか。

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ソフトウェア業界、特に受託開発の分野では、建設業や製造業と同様に多重下請け構造になっています。こうした状況下では、自社からみると仕事を出してくれる得意先があり、また自社が請け負った仕事を委託する発注先があります。これらの会社をパートナーということが多いと思います。

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しかし、はたしてそうした会社が本当にパートナーでしょうか。ジャックウェルチは良いパートナーの定義として、「対等な関係にあること」といっています。すると、得意先や発注先というのはどうしても商流として上下関係があるので本当の意味でのパートナーとは呼べないでしょう。

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これは、中小企業経営者の方ならば骨身に沁みるほど感じているでしょうが、仕事を出してくれる会社にはどうしても逆らえない、値引きなどの条件変更を押し付けられてもなかなかそれを拒否できないというのが実情です。それでも仕事を出してくれればまだよいのですが、場合によってはこちらをつぶしにかかってくることもあります。そうなるとパートナーどころではありません。

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私が在籍していたF社から独立して2年目くらいの頃、ですから20年近く前の話です。私はA電機の仕事を請け負っておりましたが、F社を通して契約をしていました。F社からはきちんと筋を通して独立したので、F社の外注先会社になったという形です。

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もともとF社に勤める前からA電機の仕事をしていたので、A電機には多くの知人がおり、そうした方からある仕事の話が来ていました。見積りも提示し、そろそろ発注してもらえるかと思った頃、それまで好意的だった担当者の態度が変化し、おたくに発注できるかどうかわからないと言い出しました。それも、奥歯に物の挟まったような言い方で、本人も何やら辛そうでした。結局この仕事は取れなかったのですが、しばらくしてその部署へ出かけて行って驚きました。F社の元同僚がその部署に机をもらって常駐していたのです。

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本来、F社とその部署との付き合いはなかったのでおかしな話です。しかし、これが現実です。前の仕事もF社がA電機に圧力をかけて持って行ってしまったと推測できます。

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このようなことがあった後、F社の取締役からもう少し近い関係で付き合わないかと言われました。それは、F社の傘下に入れということだったのでしょう。その時私はイソップの寓話を持ち出しました。それは、このようなお話です。ある町で洪水が発生し、お互いに仲の良い鉄の壺と陶器の壺が濁流に流されておりました。鉄の壺が陶器の壺にやさしくいいます。「僕のそばから離れるなよ、僕は鉄製だから君を守ってやれる」。しかし、陶器の壺は「君に近寄るとぶつかって僕が壊れてしまう」と言って鉄の壺から離れていきました。そんな話をした私をF社の取締役は怪訝な顔で見つめるだけで何も言いませんでしたが、今にして思うと、まさにこのお話の通りでした。

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F社というのは数百人規模の中堅企業でした。取締役や部長の中には色々な人がいて、私が何かとお世話になり今でもお付き合いのある役員もいれば、独立してそれなりにやっている私を快く思わない人もいるようでした。ずっと後になってF社の元部長から、「あの時はあいつのところをつぶせという声もあったが、少々手加減をしてやったのだ」というようなことを聞かされました。

(つづく)

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