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ここのところの不況で、われらが蒲田西口の飲食店も経営が厳しいようで、馴染みの店も何軒かが閉店した。いつもランチをとる周辺のお店のことを、マーケティング的な視点で眺めてみる。

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会社の周辺、飲み屋は多いのだが、昼のランチをやっている店が相対的に少ないので、ランチローテーションに入っている店に辞められてしまうと困ってしまう。先週も毎週行く中華屋が閉店してしまった。

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我々の商売も受託開発部分については客待ち商売に近いものがあるので、飲食店と共通な問題がある。店が客を呼び込むために一番重要なのは立地である。たまに路地裏や住宅街にぽつんとあって、特に看板も出さず宣伝もしていないのに流行っている店があったりするが、そうした店は例外であろう。

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店の前を一時間当たり何人の人が通るか、つまりお客候補(見込み客:リード)の母集合がどれだけ大きいかが実際に入店するお客に比例するのが普通。しかし、立地の良い場所は賃料も高いのが当たり前で、そのあたりのバランスが難しい。また、いくら人通りが多くても、店自体のキャパシティが小さかったらそれらの客をさばききれないので、賃料に比べて機会損失が大きくなる。だから、店の規模に合ったベストな条件の立地に店を構えるのがポイントとなる。

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店を始めるまえにきちんとリサーチして出店し、予定どおりに採算に乗ったとしても、何かの要因、たとえば近くの大きな会社が移転したとか、大型店の出店やバイパス道ができて人や車の流れが大きく変わってしまうなどの影響で、人足がばったり減ってしまうこともあり、店の努力ではいかんともしがたい。特に今回の100年に一度の大不況というものは、関東大震災がいつ来るか予想できないのと一緒で、“死なばもろとも”というあきらめの心も必要かも知れない。

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見ていると新規出店した時点から何かずれているのではと思う店もある。例えば、店主が妙に気取った感じで、愛想も良くない、そんな店があった。店主が客の会話で、「うちの肉はこの値段で出せるような肉ではない」と自信たっぷりに言っていたが、たしかに良い素材を使っていた。料理は文句ないし値段も安いので昼時はいつも満杯で、肉と魚の二種類しかないメニューはすぐに売り切れる。だけどもなんか居心地の悪さを感じさせるのである。

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ちなみに、この店のカウンターは妙に高くて、店主から見下ろされているような感覚を覚える。カウンターの高さというのは心理的に大きな影響を及ぼすので、新規に店をオープンするにあたり、とても大切な要素である。お客に気楽にくつろいでほしければ低く、いつも客が並んでいるような繁盛ラーメン店なら少し高くして長居されないようにした方が良いかも。

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もう一軒、店主のこだわりを感じさせる丼ものメニューをそろえた店があった。“豚丼”という少し変わった商品で、手作りのチャーシューのようなものを乗せたどんぶりをメインとしていた。カウンターのみの小さな店だが、値段も安いし珍しいので時々食べに行ったが、ここも店主の態度が、のどに引っ掛かる魚の骨のように客の神経を刺激する店だった。40歳まで世界各国を放浪してました、みたいな感じの主人で、なんだか自信たっぷり。悪い人ではないのだが少々キレやすい。

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あるとき、その店には私しかいなかった。主人とは、ちらほらと会話するようになっていたので何事か会話していると、一人の客が入ってきた。少し酔っているようである。たぶんこの店は初めてなのだろう、しばらくメニューを見ていたその客は、こう聞いてきた。「豚丼が350円なのにどうして牛丼は500円なんですか?」その時の質問が実際に何の品目だったかは忘れたが、そんなような質問だった。

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主人はあからさまに不機嫌そうに答えた「こちらはそれだけの価値があるから500円なんですっ」。よせばいいのにこの客も酔っていたせいか、さらにしつこくいう。「でも300円と500円じゃずいぶん値段の差があるよね」。これで主人がキレた。「この店は私の店で、値段も自分が自信を持って決めているんです。もう来ていただかなくて結構ですからお帰りください!」。なおも客は「いやいや、別に文句つけてるんじゃなくて、ただどうしてかなと思ったから・・・」。店主は聞く耳持たず大げさに手を出口の方へ差し出し、「もう結構、どーぞ、お帰りくださいっ!」。客は苦笑い浮かべながら帰るしかなかった。まあ、客も大人しく引き揚げたのでよかったが、見ているこちらはハラハラした。

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これらの2軒の店はすでに閉店して久しい。

(以下続く)

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