先月は「自信を持つ」ための第一歩としてまずは時間を守る事から始め、そこから範囲を拡大して約束を守る、という習慣を我がものとすることで自己のセルフイメージが向上するという話をしました。約束を守るというのは人から信頼されるということにはもちろんなりますが、それよりも、まずは自分が自分自身を信頼に足る人間であるとイメージできるようになることが重要です。

これは自分で自分を磨き上げるための第一歩ではありますが、しかし自分ひとりの力ではどうにもいけないということもあります。人は生きていれば色々な障害に出会い、落ち込むことも、悩むこともあるはずです。そうしたときに一人で悩んでいても埒があきませんので、良いアドバイスをくれる師や先輩がいれば相談するのが手っ取り早い方法ですが、なかなかそのような相談ができる人が身近にいないことが多かろうと思います。

人生においてそのような場面に直面したとき、本を読むというのは有効な手段の一つです。これは気晴らしに娯楽として本を読むという意味ではなく、自分の心を覆っている暗い雲のようなものを晴らして視野を開かせてくれるような本を読まねばなりません。

ではどのような本が良いかというとこれは人それぞれに趣味や価値観があろうかと思いますが、私のお勧めするものとしていくつか挙げてみます。

まずは歴史というのは有意義なジャンルだと思います。別に歴史の専門書などではなくても歴史小説でよいのです。例えばトルストイの「戦争と平和」はロシアとナポレオン率いるフランスとの戦いを描いたものでスケールの大きなストーリーです。こうした壮大な歴史小説を読むと、自分の悩んでいることがなんとちっぽけで取るに足らないことであるかと思わされます。

日本の小説でも司馬遼太郎の「坂の上の雲」は同じくロシアと日本の戦争を描いたもので、われわれ日本人にとても勇気を与えてくれるものです。「戦争と平和」と違って身近な日本人の有様を描いているので親しみやすいかと思います。また時局柄、現在進行中のウクライナとロシアの戦争にとても似たシチュエーションであり、今まさに読むべき1冊(といっても全8巻ありますが)であると思います。

自己啓発的な本として世界的に定番なのはデール・カーネギーの「道は開ける」ですがこちらはあまりにも有名なので内容には触れません。ビジネスで成功を目指すような人はナポレオンヒルの「成功哲学」も定番です。

日本の著者では安岡正篤と中村天風が同時代の人で影響力のあるお二人です。このようなカテゴライズが適当かどうか分かりませんがあえて静と動で例えると安岡は「静」、中村は「動」という感じ。

私が個人的に推奨するのは何といっても中村天風です。私が5歳くらいの時に92歳で亡くなったので皆さんからすると曾おじいちゃんくらいですかね。この方は10年に1回くらいブームが来るのですが、最近は大谷翔平が愛読しているということでまた話題になっています。私の父が天風の付き人をしていた佐々木さんという方と親友だったので、私にもわずかにご縁はあります。私が、合気道や居合を習っているのもこうした方の影響です。

中村天風という人は作家ではなく独自の哲学を実践しそれを多くの人に教え広めた人です。本人は元来は本を書かないということをきめており、自分の教えは直接そこに来て目で見て耳で聴いて学ぶものというスタイルを続けていましたが、後年になって自分自身で書いた本が何冊かあります。また、その教えを受けた人が残した本は枚挙にいとまがないほどです。

私がこの哲学で大きな思想の転換をさせられたのは、「人間の本質とは体でも心でもなく命そのもの」であるという考え方です。私は人間の本質というのは心、精神であると思っていたのですが、天風は「心は用具である」と言い切ります。心も体も人が生きていくために必要な道具であるという意味です。まずは、気になったらどれでもいいので彼に関する本を読んでみることをお勧めします。ちなみに私は「天風会」の会員であり、会が提供している瞑想アプリの原型を作った本人でもあるので、何か知りたいことがあれば聞いてください。

普段何でもないときはそのような本を読もうという気にはならないかもしれませんが、人生の難局に直面したときこそ、こうした良書を読みその内容を深く心に刻み自己陶冶する良いチャンスだと思うことです。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です


*

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

上部へスクロール