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人間にとって目標となる良い先輩がいるということは幸せなことだと思います。私にとって子供のころは父親が大きな目標であり、高校に入学と同時に親と離れて暮らすようになってからは、比叡山の師匠や先輩たちがよい目標となりました。ただし、目標としては大きすぎ、しばしば自分との大きな埋まることのないギャップに自己嫌悪に陥ることもありましたが、総じてあのようになりたいと思える人を身近に持てたことが今の自分の糧となっていると思います。

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社会人になって、いくつかの会社に所属しましたが、今度は逆に、ああはなりたくない、なってはいけないと思うような経営者の下で色々と嫌な思いをいたしました。その中で唯一尊敬する社長に出会うことができ、その会社にお世話になりましたが、ほどなくM&Aでトップが交代してからはその会社に何の魅力も感じなくなり独立しました。もしこのようなことがなければ今でもその会社に勤めていたかもしれません。自分の出来も悪かったので良い会社にも巡り会えませんでしたが、だからこそ自分でこうして会社を経営しているとも言えるわけです。

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私のサラリーマン時代は仕事よりも趣味の音楽活動の関係でいろいろと刺激を受けました。特に我々のバンドのリーダー格のSさんは、自動車のセールスマンから転身して独立し、若くして広告代理店を立ち上げるなど、非常にアグレッシブな生き方が私に大きな影響を与えてくれました。こちらが会社勤めで汲々としている中、2つ年上の彼は神田に事務所を持ち、従業員も10名くらい抱える社長として活躍していたのですから、うらやましいという気持ちと、自分は人生のレースで彼に水をあけられているという焦りも感じていました。今思うと「何とか自分も」という気持ちはこのころから培われていたように思います。

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このように、目標といってもそう大げさではなくてもよいと思います。坂本竜馬や諸葛孔明を尊敬する人は多くいますが、あまりにも遠い存在過ぎて具体的な目標とするには難しいかもしれません。それよりも、身近なところで自分にはない輝きを持っているような人を当面の目標とし、その人が普段どのように話し、どのように行動し、人と接しているのかをよく観察し、自分と比較して何が違うのかを考えてみるのがよいと思います。

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みなさんの身の回りにそのような目標となる先輩はいますか? 会社に目標となる先輩がいればよいのですが、こんな風にだけはなりたくないというような人ばかりの環境であれば、そのような場所に長くいるべきではないでしょう。

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良い先輩を持つことが己を切磋琢磨し成長の基となるということは、企業間にとってもおなじだと思います。かつて戦後の日本は、SONY、HONDAなどという良き先輩がいたからこそ製造業業界の発展があったといえるでしょう。このような企業は、多くの中小零細製造業の経営者に大きな夢と目標を与えてきたのです。私の父の友人たちにも、戦後の混乱期に貧しかった新潟から裸一貫で上京し、この京浜工業地帯の中心である蒲田で親方の下で昼夜なく働き、やがて町工場の経営者つまり一国一城の主となった人たちがいます。彼らからすると、HONDAもSONYもこの間まではおれたちと同じ町工場だったじゃないかという親近感と、自分たちも頑張ればああなれるんだという夢を持てたからこそ、どんな仕事でも引き受けて働きに働いて技術を磨いていったのです。そうして、今でもこうした町工場が世界でもオンリーワンといわれる技術を誇っているのです。

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しかし、目を転じてコンピュータソフトウェア業界を見ると、この国にはそのような手本となるべき企業は少ないのではないでしょうか。残念ながら日本で成功している大手ソフト会社では、人を派遣して労賃を稼ぐというモデルが確立してしまったために、そのような会社のフォロアー(後追い)ばかりとなり、未だにMicrosoftやGoogleのような業界のリーダーとなる会社は日本には出現していないのが実情です。MicrosoftやGoogleというと夢物語のように感じるかもしれませんが、製造業の世界ではSONYやHONDAがこのポジションにあるのです。

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良い先輩を持つということは、このように人にも企業にも大きな影響を与えます。人は自分の力だけで変わっていくことは難しいので、他者の力を借りて自分の夢を実現していくことも大切です。

「目標となる良い先輩」への3件のフィードバック

  1. 久々に読ませて頂きました。俺の事を書いてもらってありがとう。小川
    J子も似たようなことをブログに書いてくれていた。今思うに、人生で水をあけられたなんて思っていたんだねぇ。でも人は人だしね。良い? 先輩等と思っていただけたのは光栄だわ。今はちょっと低迷状態だったりするけど、俺は必ず復活する。これははっきり言えるね。かなり失敗も多いけど、しっかり糧にはなっている。平家物語の最初の一節、いつも心に刻んでいるぜ。とにかくやるぜ、俺は。仕事もバンドもね。今後共どうぞ宜しく。

  2. はらぺこ男爵

    今日、初めてblogを読ませて頂きましたが、共感するところが多く、おもわずコメントさせて頂きました。フリーのエンジニアとして5年近く働いている41歳のネットワークサーバ・ソフトウェアエンジニアです。もしコラボレーションが可能であれば、とも感じています。

  3. はらぺこ男爵さん、ブログをご覧いただきありがとうございます。知らない方からのこのようなコメントは、たいへん励みになります。よろしければ今度情報交換しませんか。会社の問い合わせシートを使っていただければ、私のメールアドレスをお知らせします。

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