【2010年10月25日の朝礼でのスピーチより】
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日本人の英語に関してLとRの区別がつかないということがよく言われます。日本語の発音にRがないのでこれは仕方のないことです。したがって、どうしてもLでもRでもいいじゃないかという気持ちになりますが、英語がネイティブの人にとってはLとRはまったく違う発音として区別しているので、日本人のLとRの混濁した話し方にはとても違和感を持っていることでしょう。
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同様に、韓国語ではビとピの発音が日本語と違って明確に分けていないらしく、韓国居酒屋で韓国人の店主に「ビール2本ください」というと、「はい、ピールね」という返事が返ってきます。突然「あなたピール飲む?」と聞かれると、ピル(錠剤)を思い浮かべるかもしれません。
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10年前にカミさんとの新婚旅行でスペインへ行った時のこと、トレモリーノスという地中海に面した観光地で数日滞在しました。部屋数が10個ほどしかないような小さな旅館に泊まりましたが、宿泊費は安いしいかにもスペインという感じの映画に出てくるような農家風の造りで雰囲気が良かったので4、5日連泊しました。客もユニークな人が多く、ゲイ(男同士、女同士)のカップルが妙に多かったように思います。まともな男女のカップルは私たちくらいだったかな?
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そのホテルには1階に読書をしたりできる小さなラウンジがあり、知らない旅行者同士が仲良くなるのに絶好の社交場でした。そこで、イギリス人のカップルの男性(もちろん、男同士)と知り合い、少し話をしました。なんかちょっとお高くとまった感じのインテリ風な男性であまり好きなタイプではありませんでしたが、相手がイギリス人だというので、少し喜ばせてやろうと思って、「ブリティッシュロック、私大好きです」とか、「イギリスは国土が日本と似ていますよね」など話していた。
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しかし、音楽の話も国の話もあまり食いついてこなかったので、じゃあ車の話でどうかと思い、私が以前MGという英国車に乗っていたという話に続き、「そうそう、私の友人がロータスヨーロッパに乗っているんだ」ということを英語で伝えました。すると彼は怪訝な顔で「ロータス?」と聞き返してきます。「こいつイギリス人のくせにロータスを知らんのか?」と思って「F1にも参戦しているし、コーリンチャプマンという有名な創業者がいるでしょ」などとあれこれ伝えると、ようやく「オオッ、ロータス!」と叫びました。やっと分かったかとほっとしたのもつかの間、「お前の発音がおかしいんだ」と彼に指摘されました。
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彼は、自分の口を開いて見せ、そこを指でさしながら「ラー(ウ)タス」と、ことさらに語頭のLoを強調して発音して見せてくれました。しかしこちらは、「なんだ、俺の発音とどこが違うんだ、多少の違いくらいで何をそんなに大げさに指摘してくるんだこいつは、ゲ○のくせに」と、子供に対するような説明の仕方が、人を小馬鹿にしたような態度に感じられて内心むかつきました。
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こんなことがあった翌日でしょうか、マラガへ行く電車の中で向い合せになったイギリス人の老女とカミさんが仲良く話を始めました。(うちのカミさんは、私と違って日本人でも外国人でもとにかくよく話しかけられる)
しばらく黙って話を聞いていた私が、「友人がセビリアへはぜひ行ったほうがよいと勧めてくれたんですよ」と英語で話すと、彼女はYou are speaking excellent English!と褒めてくれました。きっと、しばらく黙っていたので英語が話せないと思っていたのに、突然話し始めたのでそのように感じたのでしょうが、とにかく、「見ろ、ちゃんと通じるじゃないか俺の英語は」と昨日の英国人男性に言ってやりたくなりました。
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しかし、あのイギリス人男性は本当に嫌味であのようなことを言ったのでしょうか。さて、カミさんと結婚して10年が過ぎましたが、彼女は結構言葉の誤用が多く、話していて何の事だかわからないということがよくあります。突然、「トウケンシの時代は大変だったのよね」などと話しかけられ、「え?闘牛士、それとも唐辛子のことか?」と混乱します。よくよく聞いてみると遣唐使のことだったりするのです。まあ、似ているけどね。
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そんな生活をしている中で気付かされましたが、人は(特に私は)言葉の最初の音節が違っていると全く別の言葉を連想するのです。これは、特に物を論理的のとらえるタイプの人に多いと思いますが、相手が遣唐使と言うべきところをトウという言葉で単語を言い始めた時点で、頭の中でトウで始まる単語を検索し始めます。カミさんと話していて気付かされましたが、私は単語をその構成する漢字や意味を含めて理解しているのに対し、彼女は音というイメージで単語を記憶しているようです。だからとんでもない言い間違いをすることがあるのです。
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女性同士の会話では案外このような言い間違いをしても結構通じているように思えます。それは、単語をそのように論理的にとらえるのではなく、前後関係も無視して文章の流れを全体として取られるという優れた能力があるからと確信しています。外国語を習得するのは女性のほうが得意なように思えますが、そんな性差があるのかもしれません。
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先のイギリス人男性ですが、私の発音したロータスという単語の出だしがRにしか聞こえなかったので、一生懸命Rで始まる単語を彼の頭の中で検索していたのに違いありません。しかし、よくよく聞いてみるとその出だしの音はRではなくLだったので、彼は、「せっかく単語を探したのに、お前が鼻っから間違えていたからよけいな労力を使ったじゃないか」とイラついたのでしょう。それは私が、遣唐使を平気で「トウケンシ」と言い間違えるカミさんに対してイラッとするのと同じことだったのです。

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