【2010年3月15日の朝礼でのスピーチより】
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昨年、Webデザイナーの募集をハローワークに出しました。窓口では丁寧に対応していただきましたが、募集を通じて、ハローワークの運用システムには問題がたくさんあるように思えました。
【窓口へ来い】
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まず、募集するのにいちいち窓口へ行かなければならないのはどうかと思います。弊社の場合、既に数年前に事業所の登録をしているのですから、新規募集は
ネットから簡単にできるようにして欲しいものです。今回は、窓口へ2回出向きました。一日目は用紙をもらいに、二日目は提出しに。この辺を簡便にできるよ
うにしないと多くの求人情報は集まらないと思います。(初回はハローワークに出向きましたが、弊社の所管ハローワークの場合、連絡すると職員の方が用紙を
持参して直接きてくれたので、2回目以降はこのやり方で済ましています)
高校生の採用についてはハローワークを通さなければなりませんが、これについては説明会をやるからいついつにどこそこへ来なさいという案内が毎年来ます。なんか呼びつけるのが好きですね。
【ここはロシアか?】
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ハローワークは地域ごとに拠点が分かれていますが、縦割りのにおいがぷんぷんします。応募してきた人がその後どうなったかを問い合わせてくる結果の確認
シートをFAXで送ってきますので、記入してまたFAXで送り返す仕組みになっています。今時FAXというのもどうかと思いますが、それはさておき、困っ
たのは事業所毎にフォーマットが違っていることです。
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例えば、ハローワーク川崎は「採否確認についてのお願い」というタイトルで採用したか不採用だったかを書き込む欄があります。最後に引き続き募集するかど
うかの意思確認で「募集の継続:継続する・継続しない」という欄があります。これがハローワーク大森になると、「応募結果確認のお願い」というタイトルに
変わります。しかも、川崎はA4縦なのに対して大森はA4横です。そして募集継続の意思確認の欄は「求人取消し:する・しない」となっています。
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採用を継続する場合、川崎フォーマットの「継続する」という回答に慣れていると、大森のフォーマットでもつい「する」の方に○を付けてしまいそうになります。しかし、こちらの「する」は求人取消しを「する」ですから、採用を継続「しない」という意味になります。
このように基本運用は一緒でも、それぞれの事業所で勝手に書式を作っているので、利用者にはとても不便なことになります。
ロシアで病院へ行った日本人駐在記者が、検査はあっちで申込めとか、診察は向こうへ行って再度登録しろとか言われ、全く別の業者がただ一カ所に集まって医
療行為をしているだけだという話を聞いたが、それとよく似ています。(職安というのはなんか共産主義国の雰囲気がありますね)
【昭和の営業マン】
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ハローワークの窓口では仕事を探しに来た人に対して、弊社の条件に合う人を紹介してくれます。これがまた問題ですが、窓口の担当者からリアルタイムに直接
電話が来ます。「今、求職者の方が見えていますが、まだ募集しておりますか?」といった具合。「こっちも忙しいんだから、勝手にエントリーしてよ」と言い
たいところです。もちろん、職員の人たちは一生懸命働いているし、とても丁寧親切であることは記しておきます。つまり、働いている人ではなくしくみが悪い
のです。
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お付き合いのある会社の営業マンで、メールは一切使わず、大した用でもないのに電話してくる人がいます。そういう方は、アポなしで突然訪問してきたりもし
ます。昔は町工場のオヤジがふらっとやってきた営業マンを相手に気分転換兼ねて長々と世間話をしたのかも知れませんが、今はそういうノリの時代ではありま
せん。そういう牧歌的な仕事の仕方で食べていけるのなら私もその方が良いとは思いますが、これははなはだ迷惑です。職安はいまだに昭和のノリで仕事をして
いるのでしょう。
【誰だこれ?】
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紹介を受けると、それから1ヶ月ほどして先に話した「採否確認」シートがFAXされてきます。しかし、そこに記載されている応募者の名前を見ても全く覚え
がありません。おそらく、窓口に来て紹介は受けたけれども弊社に対してはなんのアプローチもしてこなかった人だと思います。それはいいけれど、その数が多
すぎます。紹介を受ける人数と、実際に応募してくる人は2割程度で連絡のない人がほとんどです。
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たとえば紹介日が6月24日となっている「採否確認」シートが一ヶ月以上たった8月6日に送られてきました。それらが送られてくる度に「誰だこれ?」と思
いながらExcelに記録した応募者シートを見て名前が載ってないのを確認し、不採用の欄に「応募してきませんでした」という項目にチェックを入れて
FAXを返送しなければなりません。この不況下に募集を出している企業に対して、ワークロードをかけ過ぎではないでしょうか。おそらく失業保険をもらいた
くて窓口に来ただけで、紹介されても鼻から応募する気のない人が多いのでしょうが、職員の人と企業に対してこのような労力を強いていることを認識してもら
いたいものです。
【非効率・無駄だけれど丁寧】
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今回の募集では、募集要項にこちらの記載ミスがあって電話で訂正をお願いしたことが2回ほどありました。職員の皆さんはとても丁寧に対応してくれて、口頭
で修正内容を言うと電話の向こうでパソコンに打ち込んでいる音が聞こえます。修正が終わり、「電話で済ませるのも楽かも」と思ったりしますが、その数日
後、ご丁寧に郵送されてきた修正済みの募集要項を見て複雑な思いに駆られます。ちょっと電話番号を間違えただけで、わざわざ書類を印刷して郵送してくるこ
のコストは誰が負担するのだろうか。Web上で勝手に直せるようにしてくれればこんなことしなくていいのに。職員は一生懸命だし、まじめにやっているのだ
けれど、とても無駄な作業に時間を使っている。
【さて、私なら】
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システム屋として、見ていられない点がたくさんあるハローワークの運用システム。改善するとしたら、まずは応募者のエントリーシステムを構築します。募集
する企業の方は、法務局あたりに基本情報があるはずだから、そちらのデータベースとリンクさせて簡単に応募の手続きがネットでできるようにします。
紙によるやりとりは極力排除し、Webサイトとメールでやりとりします。また、事業所毎に異なるフォーマットはこれを駆逐し、全国統一の書式に改めます。
応募者は必ずエントリーし、一元管理されたしくみに沿って企業にコンタクトをとります。そうすれば、応募者がいつ何処に応募してその結果どうなったかを自動的にトレースできます。
日本の就業人口は6500万人ほどとか。そのうち2割の人がエントリーするとして、1300万人。その程度の情報ならRAC構成のOracleで普通に組めば問題ない(かな?)。
サーバが1億、システム開発費が1億、その他既存システムとの統合などに3億、合計5億円もあれば解決するように思います。端末やプリンターは既に各ハ
ローワークにPCがあるでしょうからクライアントの費用は0円です。これを総務省クラウドにでも載せればセキュリティも問題なし。と簡単にはいかないもの
でしょうか。(シンガポールならすぐにやってるね)
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こうした合理化により発生した余剰人員は、積極的に企業へ出かけて、「求人のご用はありませんか?」と聞いて回ってもらえばいい。職員はハンディ端末を
持って会社を回り、そのまま端末からエントリーする、つまり御用聞き営業である。こうすれば、求人数は飛躍的に伸びると思うのですがいかがでしょうか。