【2010年2月22日の朝礼でのスピーチより】

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昨年の夏、比叡山の栢木寛照師とサイパンのショッピングセンターを歩いていた時、師が憤慨してこうおっしゃった。「外国人は人とすれ違う時に一向によけよ
うとせえへん、失礼な連中や」。たしかに同感である。サイパン近隣から観光に来るアジアの人たちは男も女もかなりアグレッシブというか自己中心的で、謙譲
の精神というものに欠けた人が多いとは常日頃から感じていた。

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しかし、それは外国人に限ったことではない。日本でも、最近の子供たち(中高校生)や20代の若い人たちは男女を問わず、人が向かい側から歩いてきている
のによけるそぶりを全く見せない人が多い。特に携帯電話を見ながらだったり、数人で並んで歩いてくる人たちに多く見られる傾向がある。

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このままだとぶつかるので、こちらは歩道の端一杯までよけているにもかかわらず、相手は全く自分の進路を変えようとしない。ぶつかる寸前まで平気で向かっ
てきて、ギリギリになってさっと避ける。そして、視線は全くこちらを見ていない。とても不気味に感じるが、こうした若い人がとても多い。自分から先に避け
ると損だと言わんばかりである。

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一人で前を向いて歩いている人とはまずこういうことはない。さりげなくアイコンタクトしてお互いに避け合うのであるが、数人でだらだらしゃべりながら歩い
てくる連中は、自分たちが複数なので当事者意識がないのか、道一杯に広がっていて誰もこちらに道を譲ろうとしない。この無関心を装いながら仕掛けられるチ
キンレースにとてもストレスを感じる。

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とはいえ、実際にぶつかり合うことはまれであるから、こちらも気にしなければよいのだが、雨の日はそうもいかない。私の自宅のそばに女子高があるので駅に
向かう道で多くの女子高生とすれ違う。こうした女の子は見事に傘を引こうとしない。相手の肩や頭にぬれた傘があたっても何とも思わないようである。私は戦
中派の父に厳しく育てられたので、どうしても傘をうんと傾けて相手に配慮するが、癪なので体はまっすぐにして進む。すると、どう考えても相手にあたると気
付いていると思うのだが、持った傘を全く動かさずにいやならそちらがよけろと言わんばかりに向かってくる、そして「バシャッ」と肩に傘が当たる。とても不
愉快である。

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少し前に地下鉄のポスターで、「江戸しぐさ」というものが紹介されていた。長椅子で隣に人が座ろうとした時は軽く腰を浮かせて少し空けてあげるとか、道ですれ違う時に肩を引くとかであるが、その中に傘かしげというのがある。しかし、これはマナー以前の話である。

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こうした若い世代はなぜそのようになったのか。家では親はただの友達以下なのに対し、仲間とは年中メールで連絡をとり合い、孤立することを極度に恐れる。そうした子供たちが、他人に対して気遣いを見せなくなっているのは恐ろしいことである。

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