あけましておめでとうございます。2023年、令和5年、兎年が幕を開けました。

さて、最近「リスキリング(Re-skilling)」という言葉を耳にします。先日も岸田総理の口からこの言葉が発せられたのを聞きました。これは経済産業省の定義によると「新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させること」とあります。現在注目を集めているきっかけは、2020年のダボス会議において、「リスキリング革命(Reskilling Revolution)」が発表されたことだそうです。更に、2022年10月3日の岸田総理の所信表明演説の内では、リスキリングに「今後5年間で1兆円投入」という表明がありました。

IT業界の目線からリスキリングとはなにかを手っ取り早く言うと、「第4次産業革命に対応できるDX人材を育てるために学び直しをする・させる」ということでしょう。
産業界から求められるDX人材になれば、場所や組織に縛られずに自由な働き方ができ高収入が得られるということになります。そうなりますと、その人の人生設計にも大きな変化が期待できます。地方出身者であればIターンで地元を拠点としてビジネスを行う、子育てや親の介護を担う人ならば時間に拘束されずに自分の好きな時間に働くなど、といったことが可能になるでしょう。

我々はすでにIT業界に属しており皆それぞれにITスキルを持ち合わせていますから、それはそれでかなりのアドバンテージであります。またすでに、ある程度時間や場所に囚われずに働けているのも事実です。これは他の産業、特に製造業や医療・介護業界、第1次産業に従事する人に比べると大きな違いです。だったら今のままでもよい、と思うかもしれませんが時代は第4次産業革命を迎えているという現状認識が必要です

ここで第4次産業革命について簡単に説明します。
そもそも産業革命は18世紀半ばから19世紀にかけて起こった産業の変革と、それに伴う社会構造の変革のことですが、現在はこれを第1次産業革命とも呼びます。

第2次産業革命とは、1860年から第1次大戦前の1914年におきた産業の変革のことで、第1次産業革命の柱である蒸気機関に代わって、電力の導入による大量生産が背景にあります。アメリカで一般大衆向けの自動車であるT型フォードが発売されたのが1908年です。

第3次産業革命はいうまでもなくコンピュータ、つまりICTの普及によるもので、特に時期は特定されていませんが、1970年あたりから現在までと考えればよいでしょう。コンピュータの黎明期からインターネットの普及に至る、これは私の世代がどっぷり浸かってきた時代です。

第4次産業革命はすでに始まっているかもしれませんが、それは後の時代になってから定義されることになるでしょう。少なくとも今後の10年、20年の間に起こるであろう、IOT、ビッグデータ、AI、ブロックチェーン、メタバース、スマートカー、バイオテクノロジーなどによる大きな変化です。タイムリーな例として挙げると、mRNAなどのコロナワクチンが僅か1、2年で開発され市場に提供されたという大きな事実があります。これはバイオ業界の話ですが、当然ITの力が大きく関わっています。それまで研究者が何年、何十年もかけて膨大な費用を投じて行ってきたアナログな新薬開発が、新しい機器とビッグデータ、AIなどにより短時間のうちに達成できてしまうという事実に目を向けるべきです。これは、「コロナに効くワクチンができてよかったね」というだけの話ではなく、近い将来ガンや認知症に効く薬や療法が開発されるであろうことも容易に予測できます。さらには人間の寿命を大きく延ばすような薬も開発されるかもしれません。

こうして話をしていくと未来はバラ色のようですが、こうした技術が軍事にも当然使われることになるので、核戦争を超える恐ろしい兵器による戦争やテロも考えなくてはなりません。もしかすると数十人規模の小さなテロ組織が何百万人もの人々を殺傷するような事態も起こりかねません。

時代の変革には常にブライトサイドとダークサイドがあります。好むと好まざるとに関わらず我々はそうした潮流の中に生きていかねばなりません。そのためにも、自分の将来像を思い描いて切磋琢磨することが重要です。今日のテーマに沿うと、この切磋琢磨がリスキリングということになります。

今年が皆様にとり、より良い年となりますことを祈念してスピーチを終わります。

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