【2010年2月8日の朝礼でのスピーチより】

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「大学を卒業した後、2年ほど”SE”をしていました」
ハローワークの紹介でやってきた求職者が面接の場でこういいました。

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このセリフを違和感なく聞ける人もいるでしょうが、私には全く聞き捨てならない言葉として聞こえます。SEとは、新卒がいきなりこなせるような仕事では本
来ないからです。たとえて言うなら、学校を出て4月からいきなり現場監督になると言っているようなもので、そんなことはあり得ません。私の感覚からする
と、新人教育を半年ほど受け、その後OJTで1年くらい見習いをやり、数年間はプログラムを書く仕事をしつつ、だんだんとSE的な仕事をこなせるように
なっていくもので、どんなに早くても3年はかかると思っています。だから、先ほどの求職者の場合は、学校を出てからテスターあるいはワーカーをやっていた
というのが正しい表現です。

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SEという肩書が人によってか、あるいは会社によって簡単に詐称されるのは、最近に始まったことではありません。プログラマーよりもSEという肩書で売る
ほうが単価が高いので、大手派遣会社では数カ月の研修を受けさせただけで客先にSEと称して送り込むということが日常的に行われていたようです。普通のサ
バを漁ってきて1日だけ豊予海峡に放流したあと、関サバとして販売するのと同じです。

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元IBMの大先輩から聞いた話です。その方がIBMからヘッドハンティングされた大手派遣会社で、そこの経営者(業界では有名なカリスマ経営者)から、新
人を3か月でSEに育ててくれと言われておおいに閉口したそうです。どんな難しいシステムを開発するよりも、ずぶの素人を3カ月でSEにすることのほうが
難しいのです。いや、不可能です。

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SEという言葉を安易に使う人たちと、厳密に捉える人たちは仕事の分野によって分かれているように思います。派遣社員を大勢使って人海戦術的に仕事をする分野では、インフレが起こっていて、SEという称号がうんと価値を下げているように思います。

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同業の知人の会社では、派遣会社から来た技術者があまり優秀ではないのでそれまでの経歴を尋ねたところ、ついこの間まで厨房でなべを振っていたというので
驚いたそうです。前職がなんであってもかまいませんが、おそらく数カ月研修を受けただけで派遣されてしまったのでしょう。このような”なんちゃってSE”
に金を払うほうも気の毒ですが、派遣された本人も可哀そうです。

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