【10月5日の朝礼でのスピーチより】
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私が時々セミナーに参加する経営コンサルティング会社で船井総研という会社があります。先日、その船井総研のサイトで、客が二度と行きたくないと思う店は、9割以上が店の接客が原因であるという記事を見かけました。たしかに自分がこれまで体験したことを振り返ると、思い当たることがいくつもあります。先日も、「今時こんな接客をするのか」と驚き、あきれたことがありました。
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その日、私たち家族がバスで30分ほどの所に住んでいる実家の母を訪ね、一緒に墓参りを済ませた後のことです。皆でランチをと思って店を探したのですが、休日のお昼だったのでどこの店も混んでいました。どこか入れるところはないかと歩いていると、駅前のイタリアンレストランがすいていたので入ってみることにしました。以前からそこにあるのは知っていたけれど、入るのは初めてでした。小さな店ですが駅前の好立地で、個人経営独特の雰囲気がありました。
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ランチにはプラス200円とかでグラスビール(黒ビール)がつくので、飲兵衛の我々夫婦はそれを頼みました。ビールはすぐに運ばれてきました。さっそく飲んでみたところ、酸味があって少し変わった味だなと思いましたが、ベルギーとかのビールならこのような個性的な味もあるかもしれないと気にしませんでした。
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しかし、カミさんは味が変だと騒ぎだし、店員にビールの銘柄を尋ねたところ、国産の有名メーカーの名前を言いました。さすがに私もそりゃおかしいと思いました。そのメーカーの黒ビールなら、こんなすっぱい味がするはずがないので、急に気持ち悪くなってそれ以上飲めなくなりました。
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店は小さいですから、このやり取りをカウンターで料理している店主は聞いているはずですが何も対応しません。カミさんはこうしたことには強いので、店員を呼んで味が変だと訴え、なんなら自分で飲んでみてくれと言いますと、店員は店主にどうしたものかと相談に行きました。すると、店主はイラついた顔で我々に聞こえるようにこう言いました。「別のを出してやれっ」。
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店員が先ほどと同じビールをまた運んできました。とは言っても、生ビールのサーバーから注ぐわけですからモノは変わりません。私たちはいやな気分でそのあとの時間を過ごしました。あとで母から聞くと、この店は店主の態度が悪くて有名で、以前母の知り合いも子供が騒いでこの店主から怒鳴られたそうです。昼の混んでいる時間帯になぜかこの店がすいていたのもそうした理由からでしょう。このような商売の仕方で駅前の好立地店のテナント料を払ってやっていけるわけがないので、元々自宅だったものを店舗にしていると考えられます。
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こうした明らかに不適切な対応は論外ですが、私たち自身もお客様相手に商売をしているわけですから、戒めなければなりません。自分たち自身が客に対して何となく嫌な感じを与えるということはよくあります。言葉遣いが丁寧でも、見下した感じを与える慇懃無礼というやつがあります。また、自分が一方的に喋り、客の言うことを全く聞いていないというのも困ります。
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こういう対応をすると二度と客は近寄りません。それだけならまだしも、その客が友人知人にそのことを伝えるものです。すると、それが噂となり、口伝えでどんどん広がっていくという恐ろしいことになります。良い噂を広めて売れるように仕向けるのがバズマーケティングですが、その逆もありえます。「悪い噂はよい噂より早く伝わる」とも言いますので気をつけましょう。