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批判の仕方

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他人の仕事のやり方や、ものの言い方などについて、どうにも気に入らなくてなんとか一言いってやりたくなることがあります。友達同士あるいは先輩から後輩に対してや、部下から上司に対して、または子どもから親に対してなど、様々な局面があります。

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つまり、意見をいう、批判をするということですが、気をつけなければいけないのは相手のプライドを傷つけるだけで終わっては逆効果だということです。「武士道といふは、死ぬことと見付けたり」で有名な「葉隠」には、現代にも通ずる様々な戒めの言葉がつづられていますが、その中に「批判の仕方」という項があります。以下、その内容を現代訳したものを引用します。

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意見してその人の欠点を直す、ということは大切なことであり、慈悲心ともいいかえられる。それは、ご奉公の第一のものである。ただ、意見の仕方に大いに気を使う必要がある。他人のやっている事に対して善悪を探し出すということはやさしいことで、又、それについて批判することもたやすい。

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おおかたの人は、人の好かない、言いにくいことを言ってやるのが親切のように思い、それが受け入れられなければ、自分にはいかんともしがたかった、(おれは親切に言ってやったのに、あいつが聞く耳持たなかった)などという。こうしたやり方はなんら役立たずで、ただいたずらに人に恥をかかせ、悪口を言うだけのことと同じ結果になってしまう。いってみれば気晴らしの類だ。(自分の気に入らない相手に対して、忠告という名目で悪口を言うこととなる)

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意見というのは、まず、その人がそれをうけいれるか否かをよく見分け、相手と親しくなり、こちらのいうことを、いつも信用するような状態にしむけるところからはじめなければならない。そのうえで趣味の方面などからはいって、言い方なども工夫し、時節を考え、あるいは手紙などで、あるいは帰りがけなどに(ちょっと一杯飲みに誘いだして)、自分の失敗などを話しだしたりして、余計な事はいわなくても思い当たるようにしむけるのがよい。

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まずは、よいところをほめたて、気分を引き立てるように心をくだいて、のどが渇いたときに水が飲みたくなるように考えさせ、そうした上で欠点を直してゆく、というのが意見というものである。意見というものは、ことのほかしにくいものといえる。だれにでも年来の悪癖みたいなものが身にしみ込んでいるので、そうすぐには直らないということは、私自身にもおぼえのあることだ。

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友だち一同、つね日ごろ親しくして、悪癖を直し合い、ひとつの心になってご奉公に勤めるようになることこそが、本当の慈悲心といえるだろう。それなのに、恥をかかせては、直るべきものも直らないことになってしまう。直るはずもないではないか。

参考文献:「葉隠入門」(三島由紀夫)新潮文庫

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