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私は、20代から30代にかけて10年余りアマチュアロックバンドを演っていました。
楽器が弾けないのでパートはボーカル。おもにローリングストーンズのコピーなどのシンプルなR&Rで、最も盛んに活動した数年間はほぼ毎月ライブハウスで演奏していました。
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バンドを始めたきっかけは、中学の同窓会で2年上のギター好きの先輩から誘われたからですが、当時まだ社会人1年生で、派遣先が遠方の日野市ということで見ず知らずの土地に移り住んで独り暮らししていた私にとって、仕事はつまらないし周りに友人はいないしで、何かパットすることをやりたかったというのが正直なところです。
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それまで人前で歌うことはおろか、しゃべることすら苦手な私でしたから、最初は大変に戸惑いましたが、良い仲間にも恵まれてなんとかそれなりにこなせるようになっていきました。(その後、当時の人気番組「イカ天」にも出演することができました)
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バンド活動を続けてみて、これは非常に勉強になるなということがたくさんありました。ライブの当日までに曲を決めてそれを練習する、練習場所の確保やメンバーへの連絡、スタジオ代や衣装代などの経済的なやりくり、ライブハウスのオーナーとの折衝、観客の動員、さまざまな人間関係など。考えてみると、精神面、経済面、営業活動、人間の管理など様々な能力を要求されます。
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社会に出て4年で最初の会社の社長と喧嘩して辞めた時に、会社で教わったことよりもはるかに多くのことをバンド活動から学んだと、当時から強く感じていました。その後フリーになり、自分で会社を立ち上げたのも、こういった経験が大きく作用しています。
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さて、私はよく「リーダーシップ」という言葉を用います。仕事においても家庭においても、地域社会との関係においても「リーダーシップ」というものは重要です。この「リーダーシップ」は生まれながらに身に付くものではないと思います。私など元々は、「リーダーシップ」をまったく持っていなかったと言い切れます。だからこそ、積極的な心構えを意識して、自ら進んで「リーダーシップ」精神を養う努力をすることによって、人はいくらでも成長していけると信じています。
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「リーダーシップ」精神を養うのは、別段難しいことではありません。ちょっとした活動を自分でやってみるだけでよいのです。大切なのは飛び込む勇気と、失敗しても、それが当たり前だと思って腹をくくることだけです。
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なんでも、人が敬遠することをやってみてください。小さなことからでいいのです。考えてみるとたくさんあるはずです。飲み会の幹事、フットサルのマネージャー、PTAの役員、マンション管理組合、職場のQCサークル、SNSの管理人、などなど。
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こうしたことをやると、自然と実務能力がつきます。人が敬遠するのは人間関係のゴタゴタを嫌がるからでしょうが、どんな小さな活動でもゴタゴタを体験しストレスを感じるでしょう。しかし、それにはすぐに慣れます。人間同士が集まると何かしらトラブルが起きるのが当たり前だという、達観した気持ちを持って気楽に構えましょう。何よりもいけないのは、こうしたゴタゴタを恐れ、いつまでもそれを苦手と思って避けて生きていくことです。それによって発生する機会損失は、残りの人生が長ければ長いほど膨大なものとなります。
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この世の中に、自分よりも10倍も20倍も優れた人は滅多にいません。だから、誰がリーダー役を務めてもさほど大勢に影響はないと思って、進んでリーダー役を務めることです。すでに成功している人たちだって、抜きんでた能力があるというよりも、単に積極的な心構えを持っているということが大きな違いを生んでいるのです。