【2010年1月4日の朝礼でのスピーチより】

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正月1日から3日まで福島の温泉スキー宿に家族で宿泊しました。旅館の前にはリフトが1台しかない小ぢんまりした宿のプライベートスキー場があります。ガンガン滑る人なら物足りないでしょうが、うちの二人の子はスキー初体験なのでちょうどよいゲレンデです。まして、両親ともこの20年くらい滑っていないのでなおさらでした。

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7歳の長女と5歳の二女は全く性格が違うので、観察しているととても面白いものです。初日は二人とも雪を見て大はしゃぎし、雪遊びをして明日のスキーをとても楽しみにしていました。しかし長女は寝不足がたたったのか、翌朝、旅館で借りたスキー靴を履いて目の前、ほんの20mほど先にあるゲレンデまで歩いたら、途端におう吐してダウン、雪の上でしばらくうずくまったまま動きませんでした。その間、二女は元気一杯で早速スキーを履いてズルズル滑りながらもなんとかスロープを上ろうとしています。私が斜面に対して板を横にするようにと注意すると「わかってる、やってるの」と口答えして全く人の言う事を聞きません。

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長女はなんとか持ち直してスキーをはいたものの、ちょっと思っていたのと勝手が違っていたようで、うまく滑れない(当たり前ですが)ので怒り出して自分で板をはずして、手袋まで投げ捨てて宿に戻って行きました。

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二女はいつものことですが、私たち親が何を言おうと聞く耳を持たないタイプです。まずは何でも自分でやってみないと気が済みません。しかし、いくら自己流で斜面を登ろうとしても、スキーをまっすぐに向けていては登れるはずがありません。そしていつものように号泣してわめきながらも長女と違ってやめようとはしません。

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これは二人とも午前中で終了かな? せっかく1日レンタルだったのにもったいないことをした。しかし、そんな事だろうとリフト券は買わずにいたので賢明だったな、などと思いつつも、少し放っておけば落ち着くだろうと、様子を見ていました。

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すると、長女はしばらくして気がつくといつの間にかまたゲレンデでスキーを履いもぞもぞやっています。二女はというと、なんとか両親のやり方を見よう見まねで斜面を登り、何度か滑り降りるという経験を積み始めました。

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二人の性格ですが、長女はうまくできないことに対してすごく悔しがりますし、人目を気にして恰好悪くて恥ずかしいと感じるようです。だから、ちょっとやってみてうまくいかないとすぐに投げ出します。うまくできない無様な自分を見せたくないのでしょう。しかしその反面、何かができずにいるというのが悔しくて仕方ありません。なので、投げ出した後も少しほとぼりがさめるとまた再チャレンジするのです。

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二女は、とにかく体当たりしていくタイプで、人の言うことや理屈よりも自分のやりたいようにやり、それで駄目だとすぐに助けを求めたり泣きわめいたりして感情を爆発させます。しかし、しばらくするとケロッとして先ほどの大騒ぎは何だったのかと周囲を呆れさせます。

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午前中では、二女のほうがスキーに馴染んだようです。リフトに乗るのを嫌がっていたのですが、昼前になると自分から乗りたいと言いだします。それじゃお昼を食べたらリフトに乗ろうね、と諭しても、今度は今すぐ乗りたいと言って聞きません。この辺が二女の強烈なキャラクターです。それじゃ昼前に1本リフトに乗って山頂へ。このスキー場の客はほんの数人なので、リフトは乗る時も降りる時もわざわざ停止させてくれるので助かります。私が前に抱えてボーゲンで滑り降りると、彼女はあまり恐怖心がないので大喜びです。これで何とかスキーの楽しさを知ってくれたようなので、初体験としては上々です。

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それを見ていた長女は悔しくてなりません。午後になると今度は長女にせがまれ、彼女を連れてリフトで上がります。私も久しぶりだったスキーにいくらか慣れてきたので、リフトを止めずに乗り降りできるかと思ってチャレンジしましたが、降りるときに見事に親子でコケました。例によって前に抱えて滑り降りると、長女も喜んではいますが少しスピードが上がると怖がりますので、この辺が二女との違いです。

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自分でも意外だったのですが、ああだこうだ説明するよりも、前に抱えてボーゲンで降りると、はじめて滑る子供でもなんとなくコツがつかめるようです。特に長女のほうには体重移動により左右に曲がれるということを説明しながら滑ったら、自分なりにそれを反芻して、最後にはそれらしく曲がれるようになりました。

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1日滑ってみると、長女も二女もそれなりにボーゲンで滑り降りることができるようになりました。午前中は妹に先行されていたお姉ちゃんでしたが、1日を終わってみるとやはりそこは理論派の長女のほうが若干習得は早かったようです。しかし、怖いもの知らずで体当たりしていく二女の性格からすると、いずれは妹のほうがダイナミックな滑りをするようになるかもしれません。

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いずれにしろ、二度とスキーはやりたくないと言い出すかと心配していましたが、結果的にはもう一泊して滑りたい、またここにスキーをしに来たいと異口同音に言っていたので、子供たちのスキー初体験は大成功でした。

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子供の物事に対する取り組み方を見ているととても面白いです。へこたれたりいじけたりしていても、すぐに手を差し伸べたり、あれこれ干渉したりするよりも、一度放っておいて時間をおくというのがうちの子供たちに対しては効果的なようです。

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蛇足ながら、この少し時間をおくというのは、天ぷらのかき揚げを揚げる時の間の取り方に似ています。具を油の中に入れるとパッと散ってしまいますが、あわてて箸でまとめようとすると具が箸にくっついて思うようにまとまりません。しかし、少し間をおいてから箸でチョンとくっつけるとうまくまとまるのです。料理をする人にはわかってもらえるでしょうか。

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