*** ゼロベース思考とは ***
ロジカルシンキング関連の本を読んでいると、「ゼロベース」という言葉がよく出てきます。これは、問題解決などのために思考を巡らす際にそれまでの常識や習慣を一旦リセットして新たな気持ちになることで、それまで考えもつかなかった斬新なアイディアが生まれるというものです。

このようなことは誰でも経験していることでしょうから、他人に「ゼロベース」などという名称で定義付けされるのはお節介かもしれませんが、便利なのでこの呼び方を受け入れましょう。

これは日常体験することで特別なものではありません。たとえば、ビジネスメールを書いているときに、何かの用事で少し別のことをした後、再びそのメールを読みなおしてみると、先方に説明すべき事柄が抜けていたり、同じ意味のことを繰り返していたりすることに気づくことがあります。ロジカルシンキングの大敵「漏れ」と「重複」が発見されるわけですね。

最初にメールを書いていた時には気づかなかったこれらのことが、いったん別の仕事をして頭がリセットされたことにより、つまりゼロベースで自分の文章を見直したことによりその問題点に気づくのです。このようなことから、大切なメールは同僚に見てもらうということも一つの方法です。なぜなら同僚は文章を書いた本人ではないので客観的、つまりゼロベースでそれをチェックできるからです。

*** 視野狭窄 ***
「ゼロベース」で発想することとは反対のふるまいに「視野狭窄」というものがあります。もちろん、医学で言うところの視野狭窄ではなく、もののとらえ方がある一点に集中してしまい、他のことに目がいかなくことを言います。よく「あの人は視野が広い」とか、「どうも視野が狭い」といった言い方をしますね。

「視野が狭い」といわれると何か侮辱されたような気がしますが、時に応じてそうせざるを得ないこともあります。人は物事をとらえるときに大局的に、つまりマクロ的にものを見ることも必要ですし、一つのことを深く掘り下げて見ていく、つまりミクロ的な目も必要であり、その両方をカメラのレンズと同じように必要に応じて使い分けることが大切です。

部屋にこもって行う仕事をしている人は、反対にアウトドアを趣味とするなどというのはよくある話ですが、他にも色々な人の話を聞くのも効果的です。といっても近所のお年寄りと世間話をしろという意味ではありません。やはり様々な分野の第一線で活躍している人たちの話は、大変刺激になるし視野も広げてくれます。

私は昨年まで2年間ビジネススクールに通っていましたが、さまざまな人が講義をしてくれました。例をあげると、トロンの坂村教授、WIDEプロジェクトの村井純教授、SBIの北尾社長、西岡元インテル社長など錚々たる面々。それに慶応ビジネススクールの矢作教授、嶋口教授、梅津教授など。そういった人々の講義を聞くと、何とは明確に言えませんが心の視野が広くなり、経営という仕事が楽しく感じられるようになりました。弱小ソフトハウスの虚弱経営者である私は、それまで会社経営に関してもどうも視野が狭くなっていたような気がいたします。

学校へ通わずとも、巷では色々なセミナーが開催されています。無料のものも多くありますので、興味があればぜひのぞいてみるべきでしょう。私は最近、船井総研のセミナーに時々でかけますが、その多くはやはり無料ですし多くの有益な情報を得られます。

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