【2011年4月18日の朝礼でのスピーチより】
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最近、Dellがこれまで別表示だった送料を商品価格に含めるようになりました。
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これまで、デスクトップであれば5,000円程度の送料がかかったので、私はこの値段はちょっと高いなと感じておりました。Dellのロジスティックスセンターは川崎にあると聞いています。私の会社は蒲田にあり川崎と蒲田はJRで1駅ですから、段ボール箱を一つ送るのに5,000円というのはずいぶんと高額です。
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もちろん、全国一律の送料ですから、割安に感じる地域もあるかもしれません。ただ、いくら遠くても宅配便で5,000円というのは高いですね。クロネコヤマトで調べると、東京から北海道に160サイズ(例えば30cm×50cm×80cm)、たいがいのデスクトップPCはこのサイズ以下に収まるはずですが、それでも2,210円です。保険料が上乗せされるかもしれませんが、Dellほどの扱い量であればそれを相殺して余りあるほどコストは下げられるでしょう。
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私は、かねてからこの送料にかなり利益が含まれているとにらんでおりました。商品そのものを安く設定し、送料で3,000円程度の利益が出れば、商品では利益がなくてもビジネスとして結構成り立つのではないでしょうか。商品はPCですから、平均的な価格が60,000円として、3,000円の利益なら5%の利益率ですからおかしくはありません。
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ダイエーが創業間もない頃のこんなエピソードがあります。
大量に仕入れたみかんが飛ぶように売れている店先では、創業者の中内さんが威勢よく客をさばいています。積み上げられたみかんの箱は、どんどんから空になっていきます。その様子を取材していた記者と中内さんのやり取りです。
「社長、みかんがよく売れていますがこの値段で売って儲けはあるんですか?」
「仕入れた値段で売っているんだから儲けなんかあるかい」
「え?それじゃ何のために商売してはるんですか?」
いぶかしがる記者にそっと教えてくれたそうです。
「そこに積み上げた空箱があるやろ、これ1箱、XX円で売れるんや、それが儲けや」
私はこの話を聞いて、商売というのは奥が深いなと思いました。
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Amazonも、最近になって送料を原則無料にしたそうです。これは大手販売会社の物流戦略の方針が大きく変わってきていることを表しているのかもしれません。顧客も馬鹿ではありませんから、朝三暮四的な価格設定に疑問を感じる人が増えてきたのかもしれませんし、圧倒的な商品発送量を抑えていることによるコストダウン効果が影響しているのかもしれません。高速道路の無料化などの物流コストに与える影響もあるのかもしれません。いずれにしろ、送料の考え方に一つのシフトが起きているような気がします。