【2012年3月12日の朝礼でのスピーチより】
サイゼリアの社長、この方は東京理科大学卒業、理論物理学専攻の理系人間ですが、開店当初あまりにも客が入らないので、商品の価格を一体いくらにしたら客が入るのかという実験を試みました。そして、利益はひとまず置いておいて、市場を理解するためにまさに「実験」的アプローチで価格をどんどん下げていったところ、ある金額で客が殺到したそうです。そこで、この価格で勝負するんだという戦略を打ち立てます。
モノの値段というのは、おおざっぱにいうと原価と利益で構成されています。ピザを一枚売るのにも、店舗の家賃がいくらで、人件費がいくら、材料費がいくらなどと積み上げていき、一日に生産できる商品の数で割ると原価が出ます。これはいわゆる積み上げ式です。しかし、サイゼリアの社長がとったのは逆のアプローチで、まずはいくらなら市場に受け入れられるのかを確認してから、その価格にするためにはどのような運営にすべきかと考えたのです。
一体いくらなら客は来てくれるのか、というアプローチは、今会社で行っているRacNoteをオープンソースで無償提供するのと同じです。これは将来の弊社のあり方を問う大きな意味があると思っています。
人月いくらの受託開発では、最低賃金の保証など日本人を雇用してサービスを提供する以上は価格にも限度があります。しかし、商品を販売するうえではもっと自由が利きますので、チャンスも多いと思います。
「わかりやすい商品サンプルと明快な価格表示」これが客に訴える一番のポイント。その次に、実績(社歴、開発事例)、信用(第3者の評価やISOなど)、会社規模などがありますが、エンドユーザは社員数や資本金額のような会社の規模はほとんど気にしないでしょう。
うまそうな回転寿司屋が近所にできたので、「一度行ってみようかい」、となった時に、だれがその店の資本金や、上場しているかどうかなどを気にするでしょうか。デフォルト率(倒産する確率)が高いからやめておこうという判断は、金を貸し付ける銀行がすることで、一般のお客様は気にしません。
ITサービスを事業とするうえでも、商品・サービスの見せ方は、飲食店のサンプルメニューやブティックのショーウィンドウのようでなくてはならないのです。