今年も早くも半ばにさしかかりました。天候も暑い日があったり肌寒く感じる日もあったりで着ていく服に悩む日々ですね。今日は今シーズン初めて半袖シャツで来ました。でも来週からは関東地方も梅雨に入りそうです。新人の皆さんもOff-JTが終わって今週からプロジェクトに参加していますね、最初は色々大変でしょう。
さて、我が家には年頃の娘が二人いますが割と何でも話してくれます。先日、社会人2年目の長女が会社での出来事を話してくれました。
彼女が所属しているチームにまもなく新人が配属されるので、1年上の彼女が1 on 1の担当に抜擢されたとのこと。しかし、この間も大きな失敗をやらかしてしまい、上長から「もうすぐ後輩が入ってくるんだけどちゃんと教えられる?」と心配されてしまったとのこと。
そこで私は言いました。右も左もわからない新人にとって、1年先輩の社員がめちゃくちゃ仕事のできる人だと「1年であそこまでならないといけないのか」とプレッシャーを感じてしまうから「ああ、1年経ってもあんな感じでいいんだ」と安心されるような存在も必要だよと。
人間はどうしても相対的な格付けにこだわる生き物です。自分は先輩だからということで格好を付けようと思って、変にマウントを取るようなことはする必要が無いと思います。先輩であっても分からないことは分からないと素直に言うことが大切です。
私がまだ会社勤めしていた20代半ばのころ、当時の役職は主任でした。あるとき他部署から切れ者と噂の人物が課長として配属されてきて、俺が来たからにはプロジェクトで赤字は出さないと豪語していました。そんな感じなので毎週の進捗会議でプロジェクトのメンバーに厳しく問い詰めるようなことがしばしばありました。一気に雰囲気が悪くなりスケジュールは必ず守らなければならない、ものを聞かれたら分からないと言ってはいけない、そんな重苦しい空気になっていました。
ある日の進捗会議でこの課長に新規案件の見積がいつまでにできるか聞かれました。私があえて「わかりません」と答えたら、課長は「主任なんだからわからないなんて回答はおかしいだろ」と予想通りに突っ込んできたので、「でも、現時点において分からないものはわかりません」と言い返しました。
説明するまでもないでしょうが、私の意図は「分からないことは分からないと正直に言っていいのよ」ということを他の主任あるいはその下のエンジニアたちに伝えるためでした。作業の見積をするには、まずは前提条件の確認や調査が必要です。それらができていないのに何日で見積りができるかなんて分かりません。
また別の話、2006年のことです。大規模なWebシステム開発が始まり、そのプロジェクトにWebサイト構築の専門家という人物がアドバイザーとして入ってきました。私は基本設計を担当しており、ちょうどそのときに、冗長化された複数台のWebサーバーにどうやってコンテンツを同時配信するかという課題に頭を悩ませていました。そこで早速この専門家に相談したのですが、何だか話をはぐらかす感じでまともに答えてくれません。私がしつこく聞いたら「クローンを使えばいいんですよ」とぶっきらぼうに答えました。なるほど、コンテンツをクローンして配信する、そんな便利なツールがあるのかいなと思って、「それはどういういものですか?」と聞いたら「そんなのLinuxの本に書いてあります」との返事で私は「???あれれ、もしかして」。
察しのいい人はわかるでしょうが、この人が言っていたのはCron(クーロン)のことで、私の質問とは全く関係のないものでした。この人物は全くシステムのことがわかっておらず、ただ虚勢を張ってなんとかその場を逃れようとしていただけということが後から判明しましたが、。これは現場を混乱させるだけで本当に迷惑でしたから、元請けの責任者に強く抗議してプロジェクトから外してもらいました。
とにかく、分からないことは分からないと正直に言えて、ではそれを分かるようにするにはどうすればよいのかを皆で考えるという職場の雰囲気が大切かと思います。
※アイキャッチ画像はGeminiで生成