ある記事によると、アメリカでは解雇されやすいエンジニアとして代表的なのが、いつまでたってもマネージャーやリーダーに昇格しない人だそうです。これは、リーダーとしての能力が足りなくて昇格できない人もいますが、自分自身がいつまでも現場でコーディングをし続けることに固執してリーダーやマネージャーになることを拒否するということも多々あります。
私もエンジニアなのでコーディングすることの楽しさは知っています。煩雑な管理業務に頭を煩わせられるよりも、日々コーディング作業に集中することができたらいいなと思います。しかし、そのような仕事は確実にAIに奪われていきます。
またその記事によると、アメリカのビジネスシーンにおいては「どうすれば実現できるか」を考えるのに対して、日本ではできない理由を並べ立てて「理論的に無理です」と答えてしまう傾向が多いそうです。これは、「無理と思えることでも何としてもやれ」ということではなく、できない理由を探すよりもどうすればできるだろうかという解決策也妥協点を探すことに注力せよ、ということですね。クリエイティブな発想ができず、できない理由を訴えるこのような社員はアメリカではすぐにクビを切られるということです。
これはアメリカだからというわけではなく、日本でも基本は同じで、労働基準法のからみで即解雇とはならないけれども、昇進できないとか給与が上がらないとかで、いずれ仕事にあぶれるという点では変わりありません。
いずれにしろ、楽をして稼げるような甘い話はないということです。ネット上ではパチンコで稼いだとかFXで一財産築いたとかいう話が流布されていますが、それは宝くじに当たるようなものですから、それを自分の人生にも起こりうることだという前提で人生設計をすると大きな間違いを犯すことになります。いわゆる取らぬ狸というやつです。それこそ、AIから「お前はもういらないよ」と言われてしまうのがオチです。
こうした中、十年後も二十年後も稼げるエンジニアとなるには、どうすれば顧客を満足させられるのか、どうしたらその顧客のビジネスを成長させることができるのかを考え、AIをはじめとする様々なツールを活用して低コスト、ハイパフォーマンスなサービスを作り出せるエンジニアとなることが求められます。
ただ上から言われた通りにコードを書くだけの仕事を安易に続けてスキルアップしないでいると、いずれ「茹で蛙」になってしまいます。そうならないためにも、クオーレのように顧客と何年にもわたり直接相対して提案から保守までを一貫して行っている環境に身を置くことが大切です。これは楽ではありませんが、必ず自分の役に立ちます。
クオーレではお客様から直接仕事を受注しているので、機能的にもスケジュール的にも無理だと思うようなことを要求されることがあると思いますが、そこが大切なところです。機械的にできない理由を述べ立てて「できません」というだけならばいずれ仕事が逃げていきます。もちろん、徹夜して仕事をしろとか、損をしてでも仕事を受けろということではありません。お客様と意見調整をして合意点を探るとか、時にはお客様の考え付かないような提案をするといった、AIでは出来ない様な創造性のある仕事をしていくことで、AI革命にも流されない必要とされるエンジニアになれるのだと思います。
逆に言うと、そうした経験ができる場にいるということをラッキーだと、幸せなことだと感じて欲しいと思います。これは偏に「心構え」による所が大です。目の前の課題に対して逃げ腰なのか、「よーし、やってやるぞ」と意気込むかの違いは、その人の人生に大きな違いをもたらします。熊沢蕃山の歌を紹介します。「憂きことの なほこの上に積もれかし 限りある身の力ためさん」
私は年齢的にこのあと10年以上に渡りもエンジニアを続けれらるわけではないので、こうしたAI革命が吹きすさぶ前に一線を引くでしょうが、皆さんは確実にAI革命の中を生き抜かなければなりません。だから、警告としてお伝えします。今のうちにリーダー、マネージャーとなるような覚悟を持って精進しないと後悔することになります。後になって「今思えばあの時は良かったなー」などと懐かしむ顛末を迎えて欲しくはないので、このことをお伝えしておきます。