日本ではITエンジニアが不足しており転職市場は大賑わいですが、アメリカではGAFAと呼ばれるIT企業大手が2022年あたりから1万人単位の大量解雇を実施しています。そこまで景気が悪くなっているのかと心配することはありません。1万人解雇して新たによりスキルマッチする社員を同じだけ採用しているのであり、これは新陳代謝と言えるものです。

少し前になりますが、このGAFAの一角である企業の渋谷のオフィスを見学しました。一等地にあるビルの多くのフロアをこの企業がテナントとして借りていますが、あるフロアでは半分ほどが空いた状態でがらんとしていました。社員の説明によると、そこにあった事業部が解散となり所属社員が皆いなくなってそのままになっているとのこと、こんな一等地のフロアを遊ばせておくなんてもったいないと思いましたが、企業全体で見ると取るに足らない話なのでしょう。

先ほども言ったとおり、日本では今、ITエンジニア不足で人材の取り合いになっていますが、それは大手企業が採用枠を広げたためであり、それを助長するかのように転職エージェントが活発に転職活動を後押ししています。
しかし、2008年のリーマンショックのときは、その翌年から大手企業がIT投資を控え始めた影響で、エンジニア余りが顕著となり、案件の取り合いという状況になりました。
ある大手エンジニア派遣会社では、派遣先から戻されてきた大量のエンジニアが自社のビルに入りきらず、いる場所もなくやることも無いので近くの大きな公園がそうした社員たちのたまり場になっていたという噂がありました。

このように、景気の動向と大手企業のさじ加減一つであっという間にエンジニア不足からエンジニア余りという真逆の状況になるかもしれないということは過去の事例から明らかです。

では、この先はどうなるのでしょうか。今、一番のリスクとして挙げられるのはやはり戦争や紛争が引き起こす不況でしょう。しかし、世界大戦にでもならない限り平和な地域では相変わらず活発に経済活動を行う事と思います。また、戦争は10年続くのはまれで長くても5年くらいで収束すると考えると、仮にエンジニアが仕事にあぶれたとしても一時的な現象となる可能性が高いと考えます。

しかし、今起こりつつあるAI革命は戦争などよりもより深刻により永続的にエンジニアの仕事を奪う可能性があります。もちろん、いきなりすべての仕事がAIに奪われる訳では有りませんが、まずは低スキルエンジニアの仕事から徐々に浸食されていくのは間違いないと思います。
仕様書を元にソフトウェアのテストをするテスターやコーディングだけをするプログラマーは、真っ先にお役御免となるかもしれません。その仕様書すらAIが自動生成するようなサービスが生まれてきています。

今の日本では、独学でもプログラミングを勉強すれば容易に就職できますし、転職を繰り返せばかなりの確率で報酬が上がっていきます。しかしこれが長く続くとは限りません。Javaが書ける、Rubyが書けるといっただけの言語依存型プログラマーには厳しい話ですが、そうした人材はAI革命によって近い将来それほど必要ではなくなるのでしょう。

昭和3,40年代日本では珠算というものがもてはやされました。そろばんですね、私も小学生の時にそろばん塾に通わされました。珠算1級とか2級とかの免状を持っている人材は、会社の事務仕事には役に立つので重宝されました。しかし、電卓や表計算ソフトの出現で、そろばんだけが取り柄の社員は無用の長物となり、今ではそろばんは趣味の世界となりました。
プログラミングも同様で、ただコーディングができますというだけでは真っ先に整理の対象となります。

元請け会社に勤めているエンジニアであればいきなり解雇される事は無いでしょうが、派遣エンジニアの場合は契約期間が満了したらさっさと契約を切られることでしょう。もちろん、元請け会社の社員であっても仕事が無ければ配置転換されるかもしれません。コロナウィルスのために大打撃を受けた航空会社は、CAを家電量販店の販売スタッフに配置替えしたのはついこの間のことです。

<次回に続く>

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