マネージメントとは何でしょう。よく聞く言葉だと思います。

ネットで調べりゃビジネス情報や経営に関するサイトなんかで、ドラッカーがどうとか色々出てくると思います。

なんやら難しそうですねえ。

しかし実際は単純なことです。日本の古い言葉で言えば奉行「ぶぎょう」です。なお、マネージメントはレイヤーによって手法も考え方も変わってきますが、今日話すのは管理職としてのマネージメントです。

戦国時代の話を例に話しますが、ある逸話を勝手に想像して話しているのであくまで私流のフィクションですが。

織田信長が秀吉に対して「墨俣に明日までに城を作らねばならん、猿っ、お前が奉行せいっ」、(藤吉郎)「ははっ、かしこまりました」とこんな感じ。

木下藤吉郎、後の豊臣秀吉は信長に仕えていたころは「猿」と呼ばれていました。

さて、お城が1日で作れますかね?

普通に考えたら無理なのは当たり前です。

藤吉郎ではなく、別の部下がいたとします。この部下は頭が良くて理系で全て理論、ロジックで考える人です。名前を仮に太郎左衛門とします。この人が同じ命令を受けたらこういうでしょう。

「殿っ、恐れながら築城には2000人の人足が必要ですが、今現在300人しかおりません。また、築城に必要な資材が全く足りておりません、どうか人の手配、および資材の調達をご指示いただき、期限をリスケしていただきたく存じます。」

至極もっともです。

でも信長はこういうでしょう、「たわけっ!できない理由など聞いておらんわ、このうつけめっ!」と一喝です。

しかし、藤吉郎はそれをかしこまって受諾し実際に次の日には城を築きます。

その時敵対していた相手の軍勢は、夜が明けるとともに要害の地である墨俣に城が築かれているのを見て大いに驚くとともに恐れ、結果的に戦わずして撤退してしまったとさ、というお話しです。

このとき藤吉郎が築いた城は、実際は簡単な木の柱とふすまを貼り合わせて作った張りぼての城で、映画村のセットのようなものだったのです。しかし、敵を威嚇するには十分で、実際その効果もあったわけです。

信長が城を築けと命じたわけですが、それは天守閣を抱いた壮大な城を作れと言っている訳では有りません。城を築く目的は、敵に対してこちらは十分な備えがあるぞと威嚇するのが目的だったのでしょうが、上の人間はそこまで細かく説明しません。だけど、藤吉郎の相手の意図を理解するという優れた能力があったので、信長とのあうんのやり取りでその意図を察したわけです。

このように、奉行・マネジメントとは、ある目的(ミッション)を達成するための手段を実現する、つまりこの場合は城を築く、のではなく、与えられたミッションを理解してそれを実現する、ということです。このたとえ話では、城を築くことによって敵を恐れさせて味方の兵を損じることなく引き上げさせる、という事です。

ある会社で、今期中に新規顧客を10社獲得しなさい、というミッションが与えられたら、馬鹿正直にDMを1万通送って返事を待つということではないのです。仮に3社しか獲得できなくても、そのうちの1社が大企業で、この会社の平均的な顧客の10倍の発注規模であればそれでもいいのです。指示した人間は、自社の平均的な顧客の年間発注量2,000万円から割り出して「10社」と指示しただけです。本来の目的は1社2,000万円として×10社で2億円のセールスUPを期待していたわけです。

また別の機会に話しますが、アメリカでは「どうすれば実現できるか」を考えるのに対して、日本ではできない理由を並べ立てて「理論的に無理です」と答えてしまう傾向が多いそうです。さっきの例の太郎左衛門ですね。

与えられたミッションに隠された真の目的を理解するという、クリエーティブな発想ができない社員はアメリカではすぐにクビを切られるということです。

あの信長ですから、太郎左衛門も「たわけっ!」と一喝されて下手すると切腹させられるかもしれません。

昔なら奉行を仰せつかり、失敗したら責任を取って腹を切る、という覚悟で臨んだのでしょうが、それが責任の取り方という訳では有りません。本来の責任、英語で言うとResponsivilityです、効果的に反応するとでも言いましょうか。ミッションに対してプランAがダメならプランBを考える。想定通りにできなさそうなら優先順位を付けて順位の低いものは後回しにする、状況をきちんとエスカレーションする。などが効果的な反応です。

現代社会では、失敗して切腹させられることはありませんから、無理だなと思うようなミッションでも、パズルを解くような気楽な気持ちで柔らかい発想で対処することが肝要かと考えます。

この話の内容は動画でも視聴できます。

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