【2011年11月7日の朝礼でのスピーチより】
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週が明けて、A部長がBさんに
「先週頼んでおいた○○、できている?」
「あ、まだやっていません」
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ここで、Bさんがすかさず「××の仕事が急ぎだったので、終わり次第対応します」と答えてくれればいいのですが、「まだやっていません」と返事した後そのまま沈黙が流れ、どうしたのかなとBさんを見ると、何やら仕事をしている様子。A部長の質問に対する回答えは「まだやっていません」で終わりのようでした。
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ここで、「まだやっていません」という返事は間違ってはいませんが、A部長は納得しません。この仕事は大して手間のかかるものではないので、なぜやっていないのかが気になるからです。
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いくつかの理由が考えられます。単に忘れていた。他に急ぎの仕事があって後回しにしていた。Bさんの何らかの判断によりやらなかった。などです。「まだやっていません」という日本語は、厳密にいうと自分の意思でやっていないという意味合いがあるので、何かこの仕事に手を付けられない理由があるように聞こえます。もし作業の障害となるようなことがあるなら、それを取り除いてやるのが上司であるA部長の役割です。
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ここでA部長は「なんだ、忘れていたのか?」と聞きたいところをぐっと抑え、「何かできない理由があったのかな?」とやんわり聞きます。人徳のA部長と呼ばれる所以です。するとBさん。
「先週の金曜日は会議がありまして、いろいろ資料の準備が忙しくて・・」
なにやらごちゃごちゃと、どうでもいい説明を始めるBさん。
「でもその会議は午前中で終わったんでしょ?」
「あっ、はい、ですけど、その後△△の作業をやっておりまして」
「△△は1日じゃ終わらない作業でしょ、それに急ぐ仕事でもないんじゃない?」
「ああ、そうなんですね?」
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「『そうなんですね?』じゃないよ、それは前に説明したじゃないか。「そうなんですね」なんていわれると、まるで私が今はじめて言ったみたいじゃないか。
ここらへんでA部長の人徳の殻が崩れ始めます。
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この会話、大いに無駄な会話でした。Bさんが一言、「忘れていました、すみません。すぐやります」と言えば済むところを、A部長はストレスを感じながら回りくどい会話をしなければならないし、Bさんは一生懸命余計な言い訳に時間を使い、揚句に感情的なもつれまで生んでしまっています。
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今、プライベートで仕事を頼んでいる人も、何か質問しても自分の行動の内容や相手の様子などのシチュエーションを延々と説明し始めます。それも同じことを何度も。その仕事がいつ終わるのかと聞いているのに、「来週の火曜日に担当者にちゃんとアポを取ってありますから、書類をそこで受理してもらいます。○×申請書と、△□図面とをA部署に提出して、それとは別に□●※という書類も作りB部署に提示しますので・・・・」という感じ。
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あなたがお昼休みに入った中華料理屋で、頼んだAランチが30分待っているのに出てきません。痺れを切らして店員にどうなっているのか聞くと、「今ちょうどニラを切っているところなんですが、それと一緒に餃子も焼いています。両方一緒にやらないと時間の無駄ですから一緒にやれることは一緒にしないとネ。他のお客さんのオーダーも入っているので、そちらが先ですとどうしてもお客さんのはその後にせざるを得ませんしね・・」
こんなことを延々としゃべられたら、やっぱりキレるでしょ?
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こんな人が、みなさんの身の周りにもいませんか?
皆さんにも身に覚えがありませんか?
私にも身に覚えがあります。
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社長である私は、別にみなさんより頭が優れているわけでもないし、逆に年を取っている分いろいろな点で衰えている部分もあります。私は自分でも忘れっぽいと言うことを自覚しているので社員に対してもあっさり言います「忘れてた、ごめん。」と。
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格好をつけて変な言い訳をするのはみんなの迷惑であり、社内の公害と言えます。だから、忘れていたら素早く「忘れていました」、間違えたら「間違えていました、すみません」というようにしましょう。どうしても言いたい言い訳はその後で言いましょう。